【医学生向け】マッチング直後に感じたアドバイスと反省


こんにちは。

X(旧twitter)やnoteで医学生、医師向けの情報を発信している内科専攻医のわんと申します。

SNS上でマッチングについての質問に答えることが多いのですが、メモアプリを遡っていたら私が医学部6年生でマッチングを終えた直後に書いたマッチングの体験談やアドバイスが発掘されました。
内容を今見返してみても、現在専攻医の私から見ても的を射ている内容だと思うので、一言一句当時書いた文章のまま変えずにコピペして以下に貼り付けました。是非医学生の方に読んでもらいたいと思って共有します。

また、ここに書いた内容は間違っているとは思いませんが、専攻医になった今ではここに記載した内容とは違った視点もあり、「専攻医から見たマッチングのアドバイス」について現在執筆中です。そちらもまとめたら順次公開していく予定ですので是非読んでみてください🙇


マッチングについて


面接や履歴書を始めてみようと思ったら、思ったよりマッチングの対策の情報はネットに無くてけっこう困ったので、1年前の自分に伝えたい内容、な感じでつらつら書いて見ました!あんま需要無いと思うけど友達に見せても大丈夫です笑


Ⅰ病院の選び方


1番大事なのは自分に合った病院を選ぶことと、何個受けるかだと思います。

病院の探し方は先輩とか友達に聞くのと、レジナビ、レジナビのホームページ、ホクトレジデント、m3、マッチング協議会のマッチング中間発表・結果、あたりで探して、採用試験についてはハローマッチング(本)で情報が得られます。個人的にはレジナビは絶対行ったほうが良くて、ホクトレジデントも自分も書き込まなきゃいけない面倒くささはある分、情報量は豊富なのでかなり役立ちました。

選ぶ基準で定番なのは以下のものかと思います
忙しさ、当直明け帰れるか、給料、立地、どれくらい手技をやらせてもらえるか、志望科があるか、どこの医局か、研修医室の有無、デスクが1人1個あるか、当直室、建物が綺麗か、寮、食堂があるか、スタバがあるか...など

まあ全部の希望を満たすものは存在しないし、条件の良いものは人気になります。だいたい基本的には人気度は立地と給料で決まるので、どっちか妥協してもいい人は妥協すれば比較的楽に入れるかと思います。

で、見学していく中で、上記の定番な選ぶ基準以外に考えたほうがいいと思った要素を書きます。

①フィードバックがあるか?
やっぱり良い初期研修かどうかは、教えてもらえるかどうかにかかってると思います。カンファレンスや救急、日々の診療で上級医の先生がどれくらい研修医の先生に指導してるかしっかり見ましょう。
よく田舎の病院とか○○会とかで「うちは手技がいっぱいできるよ」っていうのをウリにしてて、研修医が1人でどんどんやってる反面、全然フィードバックや指導を受けてない光景を見ますが、あんまり良くない気がします。たぶん必要な手技はどうせ後期研修やそれ以降でいずれ皆できるようになるし、将来的に差がつくところじゃないないと思うので、どっちかっていうと丁寧な指導が受けれるかが大事だと思います。もちろん手技をやらせてもらえること自体は良いことなんだけど、手技だけを良い研修の基準にしないほうがいいと思います。もちろん外科志望の人が手術に参加させてもらえるか、とかそういう手技は大切です。

②勉強会の内容
だいたいの病院では研修医向けの勉強会があると思いますが、ちゃんと有意義な勉強会が行われているかが大切だと思います。全国的に有名なブランド病院を複数見学しましたが、どこも研修医の先生の発表に上級医から質問やフィードバックがたくさん来たり、ディスカッションの時間があったり、けっこう充実した時間だった感じがしました。逆に誰もしっかり読み込んできてない適当な英語の論文を皆で読んで日本語にしてるだけ、みたいな抄読会くらいしか無いとあんまり時間かける割に得られるものは少ないのかなーって思いました、研修医の先生が勉強会に行きたくなさそうにしてたらちょっと微妙かもしれません。。。

③後期研修について、特にシーリングがあるか?
ご存知の通り東京とかではシーリングが始まりましたね。精神科、眼科、皮膚科では他で初期研修した人はなかなか後期研修に入れてもらえないことがあるし、僕が見学に行った○○大では内分泌や腎臓内科も外から入れる人の枠はけっこう少ないみたいで、そもそも初期研修自体でも第一希望で書かないと選択できないような状況でした。シーリングのある地域で将来働きたい人はちゃんと見学してその地域の志望科の状況を把握して、後期研修で残れるとことか、大学病院を検討した方が良さそうです。またシーリングとか関係なくても、入りたい医局の関連病院で研修すると後期研修の雰囲気や医局の事情など聞けて良いという話もあります。同じ病院でも循環器はA大学で、消化器はB大学で、呼吸器はC大学で...という感じで入り乱れていることもあるので医局のホームページを見るなり、見学で聞いてみるなりすると良いと思います。
また、後期研修以降については同じ科でも大学の医局や地域によってどこまでやるか違ったりします。例えば腎臓内科ならシャントの手術は血管外科の仕事になってることもあるし、腎臓内科がやってることもあります。可能であればそのへんの事情も見学の時にその科の先生に聞いておいて3年目どこに行きたいか考えたほうがいいと思います。

④志望科で研修できるか?
③の内容にある程度共通するかもしれませんが、初期研修で志望科をローテーションしておきたいなら、当然その科で研修できるプログラムにしないといけません。ただ、その病院に無くても、他施設や大学の診療科で研修できるプログラムもあるので、志望科が無い病院だからといってすぐに除外しないで、しっかり調べましょう。

⑤有病率に近い疾患が経験できるか?(これはあんまり気にしなくていい)
初期研修ではある程度幅広い疾患を経験することも大事みたいです。例えば僕が見学に行った田舎の二次救急の病院(200床くらい)では、その地域に大規模な病院がそこしかなくて、救急車は全部そこに来るし、重症患者も一回はそこに来て治療が困難そうだったら他の地域の病院に転送するシステムになってました。
そういう地域の症例が集まる病院だと、幅広い疾患を経験できますし、東京とかで周囲に大きい病院がたくさんあると重症患者や特定の分野の患者さんはそっちに行っちゃって、経験できる疾患に偏りができるかもしれません。また極端に高齢化が進んでいる地域だと人口分布に偏りがあるので、それも経験できる疾患が偏ってきそうです。でも地域の症例が集まる病院は必然的に田舎になっちゃうし、初期研修で経験した症例が全てじゃないのでこれをそんなに重視する必要はないかと。ただ、亀田とか有名な研修病院が田舎にある理由の1つはこれなのかなって個人的には思ってます。

なんやかんやいっぱい書きましたが、病院それぞれ良いところも悪いところも色々なので、最後の決め手は雰囲気とかでも良いのかなって思います!ここで働きたいって思える雰囲気!

○何個マッチングを受けるか
関東の人は4個くらいの人が多かったと思います。だいたい人気なとこ2個+普通なとこ2個くらいで。いっぱい受けると履歴書書くのも大変だし、暑い中スーツ着て移動するのは大変なんですが、いっぱい書いてるうちに履歴書の内容も使いまわせるし、面接の緊張に慣れたり、答えのパターンも蓄積されていくメリットもあるので、自分のキャパシティの範囲内で多めに受けた方がいいと思います。
なるべく第一志望の前に2個くらい面接受けておくといいかもしれません。
マッチングの結果を待ちながら卒試の期間になるので、1個くらい定員割れしてる病院を受けておくとノーマッチの不安を抱えずに卒試期間を過ごせる、って先輩が言ってました。

また、マッチングのアルゴリズムは早めに把握した方がいいです。6年生になっても「あの病院は人気だから第一志望じゃないと入れないらしい」とか訳の分からないことを言ってる人もけっこういました。以下にマッチング協会のアルゴリズムのアドレスを貼っておくので、一回は見ることを強く推奨します。
https://www.jrmp.jp/distribution/matching.html

Ⅱマッチングの準備・対策

履歴書は病院ごとに形式違くて、書く内容も多いので、6月くらいには履歴書を書き始めた方がいいと思います。だいたい自分なりに下書きを作ってきて、3人くらいで集まって、増やした方がいい内容とか、細かい表現とかアドバイスし合いながら書きました。ラインで下書きを送って、ラインで添削してもらう、とかよりも、集まって話しながら細かい修正を重ねた方が良いと思います。先輩の履歴書とか、就活サイトの文章も読んで、良い感じの言葉はパクって使うといいです。調べるとびっくりするくらい医学生の履歴書はネットに載ってないので、早いうちに先輩に見せてもらっとくといいと思います。

書き始める前に、自分の軸(将来のビジョン、自分のやりたい研修
医師になった理由、人物像)をまとめると共に、病院の求める人材(後期研修残って欲しい病院なのか、外科志望が欲しいとか救急が欲しいとか、体育会系とかインテリ系とか)を見学等で把握して、それに合った感じにしましょう

医学科の人は使わない人多いけど、大学の就職支援科はめちゃくちゃ便利です。うちの大学のは何度も履歴書見せてもすぐ添削してくれました


面接について(所詮学生目線での考察なので、忙しい人は読み飛ばしてください)

面接対策は友達と交代で面接官やって10分くらい面接やってフィードバックして、っていうのを繰り返しました。友達とやってく中で感じたのは、一貫性とエビデンスを意識すると良い印象を与えられるのかなって思いました。

例えば、一貫性については、救急医志望の友人が面接練習で話してた内容は以下の通りでした。

・幼い頃に大怪我をして、救急医の先生に助けてもらったことが医師を目指すきっかけになった
・実習の中で外傷専門の救急医の先生と会って、その先生の仕事ぶりや、外傷の治療が患者さんにもたらすQOLの改善に魅力を感じて、外傷専門の救急医志望になった
・御院の志望動機は、救急車の台数が○○台で、救急専門医からのフィードバックを常に受けられる、初期研修医が救急対応をまかせてもらえる、救命救急センターもある、自分の志望する外傷専門の先生も何人もいる
・後期研修も御院で救急をバリバリやっていきたい

こんな感じで医師になった理由から将来の進路まで救急が軸になってる、みたいなのはすごくやる気を感じられると思いました。なかなかここまでの人はいないと思うけど、ある程度の一貫性はあると良いと思います。

また、エビデンスについては、
「御院の研修では救急科が充実しており、研修医の先生方のモチベーションも高い点を魅力に感じました。」みたいな内容だと、救急科のどこが充実しているのか分からないし、研修医のモチベーションなんてあんまり客観性も無くて、その病院を熱心に研究して志望してる様子は伝わってこないのかなと思いました。それよりは救急科が
充実しているエビデンス(専門医が常にいる、フィードバックをたくさん受けられる、年間○○例の症例を経験できる)や研修医の先生が頑張っている実例(学会発表、研修医の先生主体の勉強会、見学の時にめちゃくちゃ熱心に患者さんを診ていた)などを盛り込むと、その病院についてしっかり情報収集していること、ちゃんと考えがあって言ってるんだなってことが伝わると思います。面接だけじゃなくて小論文や履歴書でも、エビデンスがしっかり述べられてるものは説得力があると思います。

Ⅲ マッチング前に知らなかったこと、マッチングを終えてみて思ったこと


・けっこう病院の提出書類とか、試験方法とか変わることはある、去年いらなかったのにCBT成績表が必要になったり、去年なくなったはずの筆記試験が復活したり...もちろん変わらない病院のが多いと思うんだけど

・面接官の先生が同じメンツで固定な病院だったら、その先生がいる科を直前に見学して顔を売っておくといいかもしれない、そのへんは1回見学に行ったときに研修医の先生に聞いておこう

・人気病院でも6年生の夏に初めて見学して合格してる人とか、そもそも見学に行ってないのに合格してる人とかもいる。もちろん見学回数を重視している病院もあるけど、6年生になっても選択肢を狭めず情報を集めたほうがいいと思った

・有名病院だからといって成績が良くないと受からないとは限らない。有名病院に国家試験浪人してる研修医の先生もいたし、そもそも筆記試験も成績も必要なく面接重視なこともあるので、何が求められているか調べるべし。CBTも提出しない病院も多いので、CBTが悪くても悲観的になり過ぎずに。CBT良い人は強みになるから自信持って。

・病院によっては7月に入らないと募集要項出ないところとかもあるし、募集要項出て2週間後に応募締め切りっていう病院もあった。複数ある受験日も早い者勝ちで、埋まったらその日は受けれないっていうパターンもあるので、履歴書は早めに書くにこしたことはない

・マッチングの前に内定出してる病院もあるから、第一志望ならもらえるように頑張った方がいいし、第二第三志望なら内定の話をされたらどう答えるか考えておくといいかも、徳○会とかはけっこう内定多いらしくて実際俺の友達も内定の話された

・面接後に事務の人にお礼のメールを送ったら「面接官の先生たちにも共有しました」って返信が来たことが2回あったので、事務の人が採点に関わって無さそうでもお礼メールはしっかり書いた方が良さそう

・病院側は学生のマッチングIDを知らなくても、検索できるようになってるので、病院からマッチングIDを聞かれなくても大丈夫

・コロナがめちゃくちゃ聞かれた。感じたこと、変えるべきこと、医学生ができることなど... 俺は小論文2箇所あったけど、どちらもコロナ関係だった

・学生同士で面接練習してると質問して、答えて、質問して、答えて、、、って感じでポンポン進むけど、実際の面接はもっと会話っぽくなることが多かった。俺の答えた将来のビジョンとかをさらに詳しく聞かれたり、俺が英語頑張ってることに対して先生が英語を頑張ってて良かったエピソードを話してきたり...

とりあえず、単にハローマッチングに載ってる質問を単発で網羅的に練習するより、定番の質問について、自分の答えに対してさらに質問を考えてみたりすると練習になるのかなーって思った

以下面接の会話が思い通りに進まなかった実例(読み飛ばし推奨)
・辛かった面接①
志望科について、"腎臓内科志望、実習で劇的に回復した症例を経験したエピソード+腎臓内科が学術的に面白いと考えている" という内容をしっかり話せるように準備しておいて、それに加えて、"腎臓内科は全身に症状が出るから様々な疾患に対応できる"、ということを話したら「何故全身を見たいのか?」ということばかり聞かれて、実習や腎臓内科についは一切聞かれなくて上手く答えられなかった

・辛かった面接②
部活のエピソードとして「初心者の1年生にテニスを教える時間を作ることで、例年退部者が多かった中で退部者を出さずに部長をやり遂げることができた」というエピソードを話したら、「なんでテニスを教えると退部者が減ったのか?」「テニスを教えた経験者の人はその時間自分の練習をしたかったのではないか?」「その初心者に指導する時間によってレギュラーの戦力がダウンしたのではないか?」とかかなり詳しく突っ込まれて、答えても「もう少し詳しく話して」などとさらに掘り下げられる面接があった。

Ⅳ最後に

マッチング頑張るのはしんどいけど、ビジネスマナーとか色々社会人として必要なことを学んだり、見学などで色んな人と出会ったり、自分を見つめ直すきっかけになったいりして、何だかんだで有意義な時間だったのかなって思います!きっとかけた時間は無駄じゃないので精一杯悔いが無いように頑張ってください!

告知


冒頭でも書きましたが、これはあくまで医学生のマッチングを終えた頃に書いた内容です。マッチングを終えた直後のライブ感はありますが、研修医になってから、研修医を終わってみて本当に良い選択だったか、という視点は盛り込まれていません。専攻医になった今、そのへんを盛り込んだ記事を作成中ですので、是非私のnoteアカウント又はX(旧Twitter)アカウントをフォローして、読んでいただけると幸いです🙇


この記事が参加している募集

就活体験記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?