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国(の)防(衛)を支える技術力 株式会社 舞鶴計器

舞鶴湾を一望できる場所に本社を構える株式会社舞鶴計器は、国防を担う海上自衛隊の護衛艦計器のメンテナンスを中心に、防衛から土木まで幅広い分野でその技術力を発揮してきた会社です。

1946年の創業以来、今もなお変わらず必要とされ続けているその存在。そんな会社を支える技術力、技術を支える人財、企業風土について、社長の玉林宏人(たまばやしひろと)さんと特機開発部部長の山上幸也(やまがみゆきなり)さんにお話を伺いました。

技術を支える人のチカラ

左:玉林社長 右:山上部長

お二人の舞鶴計器に入ったきっかけとお仕事の内容について教えてください

 玉林さん
「私は舞鶴で生まれ育ち、大学からは関東へ。貿易会社の営業職として東京を拠点に仕事をしていました。

 台湾で勤務していた時期もあり仕事は充実していましたが、子育ての環境を考えるにあたって、子どもの小学校入学を機に25年ぶりに舞鶴にUターンし、親族の経営していた舞鶴計器に入社しました。

 最初の7年間は長年の経験を活かし、市役所や民間相手の営業マンとして働いていました。前職の営業職は営業同士で話をすることが多かったのですが、入社してからは技術者と話をすることが増えて、新鮮でした。

 最近では、新規業務の提案も行うようになり、遠隔監視システムの技術がある会社と提携し販売も開始したところです。

 現場にも行く営業として、現場に必要だと思う技術を自分で提案できることが強みです。もちろん現場の技術力があってのことですが、世の中に必要なものをキャッチしカタチにするという、営業の醍醐味を感じられます。

 7月からは経営者となり、今は会社としてどうするべきか葛藤していることが多いですが、社員と経営者、両方の視座をもつことが出来るのは自分の強みだと思っています。」

 山上さん
「舞鶴計器の看板部署である船の技術部が護衛艦の計器のメンテナンスを行うのに対し、私が部長を務める特機開発部では、主に制御装置の開発・メンテナンスに携わっています。

 例えば、トンネル工事(シールド工法)における制御盤の設計、プログラム、配線などを行います。最近では、東京の外環道の地下トンネルや、リニア新幹線の地下トンネルなど、地域を超えた大きな事業も手掛けています。

 私はもともと、小学生の頃からプログラミングが好きで、その後の進路も電子工学を選びました。

入社当初は船の技術部で勤務していたのですが、ある日会社の工場長から電子工学に関するクイズを出され、それに即答するというやりとりがありました。

それがきっかけなのかは分かりませんが、その翌日特機開発部への配属が決まり、興味のあった電子工学に関わることになりました。

今手掛けている事業は、不具合があると工事が止まることもあるので、プレッシャーも大きいです。でも問題が解決できた時や、完成した際には、大きなやりがいを感じます。

 夢は、会社に(社会に)名を残すような仕事をすること。一生チャレンジです。」

護衛艦の航海計器のメンテナンスを一手に担う

海上自衛隊の護衛艦で使う航海計器「ジャイロコンパス」

舞鶴計器では、他にも護衛艦に搭載する計器のメンテナンスをされているということですが、具体的にはどのような機器を扱っていますか。

海上自衛隊の護衛艦には、今も昔ながらのアナログ機器が備わっており、舞鶴計器では長年に渡りそのメンテナンスを担っています。

そのひとつが、船の方位や地軸を図る「ジャイロコンパス」です。

ジャイロコンパスとは、高速で回転するジャイロ(こま)を利用する方位測定装置で、護衛艦などの大きな船には搭載が義務付けられています。海の上で目的地に向かうために不可欠な部品であり、大変重要な部品です。

1分間に1万2千回転する「ジャイロコンパス」

このジャイロコンパスが正しく回るかどうかのメンテナンスをするのですが、精度誤差もあり、この道35年の熟練の職人でさえ、大変根気のいる作業です。

分解作業中の貴重なショット 職人さんの手作業による様子が伝わってくる

他には、護衛艦の双眼鏡のメンテナンスも担当しています。

こちらも、電気系統を一切使っていない、昔ながらのアナログな双眼鏡です。実際のものは写真でお見せ出来ませんが、今は補給艦「ましゅう」や護衛艦「ふゆづき」のものをメンテナンス中です。

護衛艦の双眼鏡をメンテナンス出来るのは、日本で舞鶴計器と佐世保の会社の2社のみです。

護衛艦の双眼鏡ではありませんが、社内にはこのような機器の風景があちこちで見られます

当社と同じように、横須賀・呉・佐世保にも海上自衛隊の計器メンテナンスに携わる会社がありますが、それぞれが各拠点にとってなくてはならない存在として、技術連携や人的交流をはかっています。

「やってみる」精神を応援 年齢関係なく挑戦し活躍できる風土を

 最後に、これからどんな会社にしていきたいか教えてください

 玉林さん
「ベテランから若手まで、社員全員の主体性をのばしていきたいと思っています。当社には技術職から営業職まで合わせて30人の従業員が在籍しており、若い社員も多いです。

若い社員であっても「これやってみたいです!」と、新しいことにチャレンジできる社風をこれからも大切にしていきたいですね。自分自身も「常にチャレンジ」の気持ちでいます。

社員Tシャツの背中には、舞鶴計器の「3cha」spirit「challenge」「chance」「change」の文字
 「やってみる」精神は、舞鶴計器が掲げる「3cha」spiritにも現れています。

「challenge」…未知の領域に「挑戦」し 
「chance」…逆境を「好機」ととらえ 
「change」…自らが「変えて」いく

 こうしたスピリットが根付いていくことで、確かな技術力はより継承され、磨かれていく。ベテランから若手まで、皆が向上心をもち、自身の仕事に誇りとやりがいを持てる。そんな企業風土を目指して、これからも舵取りをしていきたいと考えています。」

海の国防拠点であるここ舞鶴において、これからもなくてはならない存在として、舞鶴計器は進化を続けていくことでしょう。


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