見出し画像

『かやのなか』の思い

昨年私たち歌うアイドルユニット(笑)「避密のマスクめん」は地元三河の出来事で脚本と劇中歌と紙芝居にして上映する試みをスタートさせました。毎月一作を志し現在十五作目を執筆中です。
その第一作が岡崎空襲を題材にした『かやのなか』です。亡くなられた方二八〇余人、焼け出された方が三万人。甚大な被害。しかし被害者は人間だけでしょうか? 『かやのなか』の主人公ガヤは矢作川原に住んでいたカヤネズミの子ども。萱の葉の巣の中で静かに家族と寝ていました。その時、河原の萱の原が一気に燃え上がります。母や弟達は火に巻かれます。妹たちを背負って矢作川に飛び込むガヤ。急流に妹たちは飲み込まれてしまいました。西岸に渡ったガヤは一人ぽっち。西のネズミたちの救援を受けながら、途方に暮れていると青鷺やイタチが「人間がこれで人間を焼いたのだ」「俺たちは敵討に行く」と拾った不発の焼夷弾を見せます。「敵討ち」の言葉に勇みたつネズミたち。ガヤが敵討ちの「特攻」に志願します。夜、人間の家に忍び込んだガヤ。そこで見たものは、蚊帳の中で赤ちゃんと寝ている人間の母親の姿。その姿に萱の巣の中で暮らしていた家族のことが重なりました。ガヤは敵討ちをやめて、二人の枕元の蝋燭の明かりを吹き消しました。
昨夏の高校生の平和スタディーツアーで上演させてもらい好評価をいただきました。
今年は蒲郡、安城、岡崎で、すでに六イベントでの上演依頼をいただいています。
また、先月は『岡崎宿BAKENEKO白之介』が完成。『草の根』の投稿で読んだ「岡崎の戦争責任」という言葉に触発されて、日清紡に勤労動員されて戦闘機の尾翼を作っていた女学生を主人公にしました。
民子は工場で空襲を受け目の前で友人を喪くします。そこから飼い猫の白之介に導かれ家に帰り着くまでに「何を見たか?」を描きました。
戦争を題材にすれば悲劇しか書けません。愛と平和と非戦を胸に思索と模索を続けます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?