アライグマは凶暴か
自分が勤める動物園では、アライグマを飼育している。
まぁ、自分の担当動物でもある。アライグマの前を通ると、よく
「アライグマって狂暴なんだよね。」
という声を耳にする。
そのあとは「決まってテレビでやっていた」という声を聞くのだ。
現に、目の前で巣箱の中でスース―寝息を立てている灰色のまるっこい動物が狂暴に見えるのだろうか。
アライグマは狂暴か。
自分が飼育してみた経験上、そんなことはないと思う。他の動物よりも好奇心は旺盛だ。そして、しつこい生き物だとも思う。こないだ、フィーダーを入れたら一日中やっていた。なんともおもしろい生き物だ。しかし、狂暴だと感じたことはない。
動物たちが故意に攻撃を加えるときは、狩猟するときか、逃げ場を失い、最終的な防御手段としてそうするときぐらいだろう。
アライグマが狂暴だとされる理由は、ペットとして流行った時に人になつかず、部屋中をめちゃめちゃにして、飼いきれなくなった飼い主が泣く泣く野にはなったという歴史からだと思う。
人間側の都合でかわいいとされたり、狂暴だとされたりするのは動物たちにとってはいい迷惑だと思う。適切な環境で適切な関係を築いていけばそんなことにはならなかったはずだ。
そもそも、狂暴な動物なんているのか。危害を加えようと思って他者に攻撃する生き物はなかなかいないのではないかと思う。そんなの人間ぐらいじゃないか。
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