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デビル・フレンド17 査問会

いつもの朝食を食べる時間には戻り、急いでサラダを作ろうとレタスを水で洗い流す。

窓際から部屋に入る太陽の光が、新鮮な緑の色で目を引き、穏やかな日常に私を戻してくれる。

その時、階段の上から木製の階段がきしむ音が聞こえてきた。それは、キュミルが起きてきた証。彼女の足音がだんだんと近づく。私は手早くコーヒーをカップに注いだ。

彼女が少し目を細めて「何処に行ってたの?」と尋ねたので、朝食を作りながら「朝の務めだよ」と答えた。

何らかの違和感を感じ取った様で、彼女の強い視線を感じたが、私は無視した。


彼女にスケジュールを聞くと、昼前から警察で取り調べを受けて、終わり次第、学校に行き授業を受けると言う。

私は彼女を警察署まで送り届け、取り調べが終わっ
たら、すぐに連絡する様に念を押した。



私はキュミルが階段から突き落とし、怪我をさせた被害者の青年に会いに行った。

病院で受付を済ませ、彼が入院してる病棟を訪ね、話を聞いた。

幸いにも、骨に異常は無かった様だが、決して軽い怪我では無く、首には痛々しくコルセットが巻かれ、完治するには長い時間が掛かるそうだ。

検査入院と言う形で、しばらくはリハビリ生活を送るとの事で、改めてキュミルが犯した犯罪の大きさを、強く実感した。


痛みを抱え、憔悴してる彼に、事件の詳細を聞くのは心苦しかったが、事件の事について尋ねた。


彼の話す言葉を全て信じるべきでは無いが、彼が言うには、キュミルが突然、訳のわからない事を叫びながら因縁を付け絡んで来たと言う。

それで腹を立てキュミルに、黙れなどの罵声を浴びせると、激昂したキュミルに詰め寄られ、そのまま階段から突き落とされたと言う。

被害者の青年はキュミルに激しい怒りを感じていて、「俺は絶対に奴を許さない!復習してやる!」と怒りに震えてた。


私は彼に、当面の間、キュミルとの接触を避けることを提案した。

そして、「君の怒りは良く分かる。しかし今はまず、自分の身体を治すことが最優先だ。キュミルのことは私が何とかするから、とりあえず彼のことは忘れて回復に専念して欲しい」とお見舞いの言葉を述べた

私は、キュミルを当面は彼の視界に入れない事を約束し、その場を後にした。


教会に戻り、私は先ほどの出来事を他の職員や聖職者たちに詳しく説明した。青年の証言、彼の怪我の深刻さ、そしてキュミルの行為の重大さを考慮した結果、私たちは一致してキュミルに対する無期限の神学校停学処分を決定した。

停学の決定が下された後、私たちは一体どのように青年をサポートし、キュミルとの関係をどう解決するかについて議論を深めた。

私たちは青年に対するサポート体制の強化と、キュミルに対するカウンセリングと、継続的な“Dominus Vinculum”(神の束縛)の儀式を執り行う事で合意した。

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