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オンライン試験全盛におけるスキルアセスメントと不正対策

コロナ禍も3年目突入が見えてきました。すっかりリモートによる一般的になり、リモートで面談、面接、スキルテストから入社、オンボーディングまで実施してしまうケースも常態化してきました。そんな中、増えているのが替え玉受験やポートフォリオの剽窃といった不正です。

不正の変遷

Twitterで替え玉受験の話をしていたところ、有名な替え玉受験の話として1999年の無線従事者免許のお話を教えていただきました。有印私文書偽造として免許取り消しに至ったそうです。

課題のオンライン提出と不正というものは昔から存在していました。20年前にプログラミング授業の運営に関わっていたのですが、当時から既に不正は存在していました。

ある授業の最終課題では2年生と4年生の提出したソースコードが一言一句違わず同じという事象がありました。事の真相としては、2年生の方が先に提出し卒業単位が掛かっている4年生がコピーして提出したというものでした。変数くらい変えてほしかったですね。

2000年代初頭の学内ワークステーションは権限管理が緩かったこともあり、/home全体をfindとgrepで過去提出物を探し出し、提出するというタイプの不正もありました。

その後、ブログコンテンツなどでプログラミングを取り扱うものが登場するとそこからのコピペなどが登場してきました。試験を出す側としても、いくつかソースコードの代表的なところをピックアップしてググってみるということをやっていました。やがてGitHubが台頭してくると、コピペ対象の発見は更に楽になり、不正は増えていきました。

プログラミング以外のインターネットを経由した不正としては、2011年の大学入試問題Yahoo!知恵袋投稿事件でしょう。試験内容をYahoo!知恵袋に投稿し、リアルタイム性高く解いて貰ったというものです。試験問題を投稿し、リアルタイムに解いてもらうというオンライン不正の新しい時代が開いたなと感じたものです。この前後から授業課題がYahoo!知恵袋やQAサイトに投稿され、それを解く人がいるという構図が登場したと記憶しています。

入社試験がオンライン化し、不正や替え玉受験の話を多く耳にするようになりました。以前あるHR系のセミナーで耳にしたものが下記のお話です。オンラインで作成されたポートフォリオをベースにスカウトし、そこからオンラインスキルテストに案内したところ、専門学校在籍者の前年比合格者が50%減となってしまったというお話です。この方によると最初にスカウトのきっかけとなったポートフォリオは先輩のポートフォリオのコピー、もしくはインターネット上にあったポートフォリオのコピーによるものだったとのことです。

論文代行の流れ

大学の課題や卒論などにも代行の流れができています。Twitter検索で「課題 代行」と検索すると2022年1月22日現在で73アカウントほど確認できました。(「課題代行求む」は2件ほどあったので除外しています。)他にも隠語のように「代行」+絵文字などのアカウントも確認できたため、もっと存在すると思われます。守備範囲も実に多様であり、教科、専攻、大学などに分類されています。

気になる動きとして「大学の授業で自力の提出物が不合格になり、代行に頼んだ人の提出物は合格した」というものはありました。フェアネスの観点からすると品質と不正の両方を見るべきなので両方不合格というのがあるべき姿でしょう。

対策:スキルアセスメントツールの進化

インドの場合、オンライン試験が日本より一般的であり、不正もまた一般的です。よく耳にする話としてはAWSのソリューションアーキテクトなどの証明書も偽造品が出回っているというものです。バングラデシュで採用を試みた時もそうだったのですが、一時的にでもより良い待遇を得るためにかなりナチュラルに嘘をつく方が一定居られます。

そんな環境下にあるインド発のスキルアセスメントサービスがiMochaです。弊社でも海外拠点で利用しています。試験を受けるためにログインするとカメラがオンになり録画が始まります。本人確認だけでなく、他の人が居ないか、PCの前から離れないかなどが画像解析技術によってチェックされます。他にも経過時間やアクティブなウィンドウ情報なども取得され、不審な動きをするとバレるようになっています。

こうしたソリューションは日本でも増えていくのではないかと考えています。

対策:リファレンスチェック

シンプルに「前に一緒に働いていた人に聞く」というのも対策の一つです。システムを使ったり、GoogleFormを送ったり、電話をしたりと色々な手法があります。下記で触れていますのでどうぞ。

対策:実質「カジュアルな試用期間」としての副業・業務委託

試用期間というのは難しいもので、試用期間でダメだったからといって強気で終了できるようなものでは労務的にありません。中には試用期間中は契約社員で、試用期間終了後に正社員にする企業もありますが、余程企業に魅力がない限りは内定者に断る理由を与えるようなものです。普通は警戒されます。

一方、候補者側も企業の本当のところを探りたいという需要はあります。良いことしか言われないまま入社してしまってギャップがあるということはザラにあります。新卒採用などではインターンなどが活発ですが、インターンも短期であれば良いところや楽しいところしか見せないことは可能です。

そこでちょうど良いソリューションというのが副業です。ここのところ、色々なスタートアップの会社さんとお話しする機会があるのですが、副業として会社に部分参加し、その数ヶ月後に正社員としてフル参加されるケースをよく耳にするようになりました。特に副業・複業マッチングプラットフォームを展開されているOffersさんの中の人は、かなりの割合で副業から入って居られたのが印象的でした。

長期化しつつある選考期間

これまで一般的な採用力の企業では、エンジニア採用のHowToとしてはいかに選考回数を減らして内定を早く出すかということが強く語られてきました。ITエンジニア界隈で選考回数が多い企業としてAWSが界隈では有名ですが、数年前は「採用強者の余裕か」くらいに思っていたものです。

しかしここに来て、長い選考期間も止む無しとした上でミスマッチを防ごうという動向が見えてきています。今回のお話しのようなミスマッチや不正対策のための実務期間を置くためという事情もあれば、高騰している採用フィーを鑑みて無駄打ちできないという事情もあるでしょう。選考を受ける候補者側としては副業のような形でお試し業務委託を求める企業もあることから「長期(2ヶ月程度)の転職活動になるかも知れない」くらいの感覚で計画するのが良いかと思います。

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