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四国歩き遍路日記 27日目

3月19日

朝から雨。逆に今まで晴れっぱなしだったので、天気に恵まれていたのだろう。久しぶりに雨具を着けて7時半に出る。

56号をひたすら進んでいく。雨風は徐々に強くなっていき、土砂降りのなかを歩いていく。
2時間ほど歩いて柏集落に到着。プレハブの休憩所があり休んでいく。中は温かいお茶も飲めるようになっていて大変ありがたい。その後1人、また1人遍路が来た。なかなか外へ出る気になれずしばらく3人で過ごしていたが、いつまでいても埒が明かないので、意を決して出発することにした。

ここで、柏坂を越える長い遍路道との分岐になるのだが、俺は「内海ふれあいトンネル」という所を歩いてみたかったので、そのまま国道ルートを行くことを決めていた。風は強く、ポンチョが旗のようにあおられる。

「内海ふれあいトンネル」は850mもある歩行者専用トンネルで、まさに妖怪ウォッチの”えんえんトンネル”だった。雨風もしのげ至福のひとときだった。

妖怪の気配がする
出口が遠くなるボタン

トンネルを抜け、海沿いの道を進む。この頃に雨風は弱まっていき、昼前にはほぼ止んでしまった。後は気楽に歩いていき、15時前に宿に到着。

ととろ穴

昨日に続き、今日の宿もだいぶ年季の入った建物だ。獅子文六が一時期この街に疎開していて、その体験を基に小説を書いたらしい。この人の作品は読んだことないが、尾崎翠が晩年に好んで読んでいた作家という文脈で名前だけは知っていた。

女将のばあちゃんはかなりご高齢なようだが、良い意味でサバサバと手慣れていて長年の貫禄を感じた。俺自身は怠惰な人間なので、高齢になっても目の前のやるべきことをやり続ける人、生きることと働くことが不可分になっている人を見ると尊敬してしまう。

4日後の久万高原に入る二つのルート、農祖峠と鴇田峠、どちらにするか散々悩んで農祖峠にすることにしたが、肝心の宿が小田地区で取れず、結局鴇田峠になった。そして、宿に予約の電話をした時に聞いた話では、2日かけていく予定だった行程をがんばれば1日で行けるみたいなので、思い切って挑戦してみることにした。

18時57分 泊:三好旅館(素泊4000円)


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