読書という荒野

見城徹さんの著書「読書という荒野」を読みました。その書評を書きます。

この本は、読書という行為を通して、生きるとは何か?を読んだ者に強く問いかけていると感じた。記されている言葉は読みやすくなっているが、その文字は決して軽くはなく、そのどれもがずしりと重さを備わっている。見城さんの著書「たった一人の熱狂」や「憂鬱でなければ仕事じゃない」に通じる部分があり、先に過去の作品を読んでいる自分にはまだすっと頭に入ってきたが、それでも、読んだ後に様々な言葉が頭の中に残った。

読書を通じて、一生で経験できない言葉を学ぶ

そう訴えかけ、読書歴を語る。今の見城徹を作り上げる上で大きく関わった本がわかる。そして中には編集者として接した小説家とのエピソードを交え、その関わった本についても紹介している。特に心に残った事は、読書を肯定しているが、それだけでは否定している所だ。

知識を積み重ねても仕方がないと言い切る

学生時代に出会った本や、学生運動をやめた所などを打ち明ける事によって、読書という行為は、それを読んだ上で行動して初めて輝くのだ、と訴えかけている気がした。

実践しなければ読書は読書じゃないと言うのだ。

石原慎太郎を口説き落としたエピソードはすでに知っている者からしたら驚きはないが、初めて知った者にとってはきっと衝撃的であろう。何せ、小説を書いてもらう為に、初めて会う時に彼の小説を2つ、すべて最後まで暗唱できるようにしていたのだ。見城さんを最近知った人は、見城さんが最初からあの位置にいると錯覚するかもしれないが、それは違う。この本では学生時代の話も書いておられるが、彼がいかにして今の見城徹になったのかが少しはこの本を読む事によってわかると思う。それは、圧倒的努力があってこそなのだと知る。圧倒的努力とは何か?彼の前では、努力という言葉を安易に使えなくなってしまう。

努力は圧倒的になって初めて意味がある

そう言える人が、この本を読んだ中に果たしてどれだけいるのだろうか?本の中に、見城さんのその圧倒的努力とはどういう事か?が書いてある。人が寝ているときに寝ない事、人が休んでいる時に休まない事。どこから始めていいかわからない、手がつけられないくらい膨大な仕事を一つひとつ片づけて全部やりきる事。

そんなの無理だと思う人がほとんどだろう。だからこそ、彼は今の地位にいるのだろう。高い山に登れたのだろう。少しだが他の起業家のエピソードも書いてあるが、そこに登場する人は皆、圧倒的努力をした、もしくはしている人達だ。その項目を読んで、僕は見城さんが「行動しよう」とこの本を読んだ人に言いたいのだと感じた。今本屋に並んであるビジネス書や自己啓発本のそのほとんどにも「行動しよう」と書いているが、見城さんの書き方は独特だと思った。ずしりとくる言葉を重ねて、いい加減そろそろ行動してみよう、と読んだ者に問いかけている。きっとこの本を読む人は他のビジネス書や自己啓発本を一度は読んだ経験がある人だと思う。そのどれにも書いてある、行動しようという言葉を、他の本とは違う切り口で言っている。

自分は行動している。圧倒的努力をしている。

君はどうだろう?何かを変えたい、何かを成し遂げたいと思っているからこそ、この本を手にとり、今この文を読んでいるのだろう。私は行動した。圧倒的努力をした。そして今も、行動し、圧倒的努力を重ねている。それには小説家のような才能はいらない。君はどうだろう?何がしたい?それまで読んだだけで、読書と決めつけていた人に、強く問いかけてくれる。

軽く流して読み終える本ではないが、おそらく沢山の人にとって大切な一冊になるに違いない。とくに、特別な才能を持ち合わせていない自分にとって何より背中をおしてくれる本であった。特別な才能があったら別かもしれないが、その特別な才能がある人ですら圧倒的努力をしているという事実、そして、何者でもない者が、やりたい事や夢を叶える方法が書いている。様々な人におすすめの本です。読書とは何か?それをわかった今、何をするか?何をすべきか?はおそらく読んだ人にその答えは出ているだろう。この本に出会えてよかったです。


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