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ふりむくな ふりむくな うしろには夢がない

短い恋のいいところは、思い出を残さずに終われることだと思う。

季節を何周も共有してから終わるような長い恋は、終わったあとがしんどい。ほんとうなら美しいはずの季節までもが胸に刺さるのだ。昼間からワインを引っ掛けたあと、肩を並べて歩いた太陽の下。地面に濃い色の陰を落とす木々の下から見上げた夏空。ぬるい潮風を感じながら見上げた海上花火。なくしものを探しに、幹線道路をひたすら走ったドライブ。大切だった風景が、見るたびに悲しみを呼び起こす。どうしてずっと続けられなかったんだろう。どうしてこうなってしまったのだろうと。

でも、思い出は思い出にすぎないのだ。人生は短い。自分の気持ちにちゃんと始末をつけて、良かった思い出は良いままに感じて生きていきたい。

ふりむくな
ふりむくな
うしろには夢がない

と、寺山修司も言っている。美しい風景を美しいと思えるようにできるのは自分だけ。そのためにも、前を向いて進むのだ。

一番長くつきあった恋人との関係は、8月に終わった。というか私が終わらせたのだ。あれから何度も季節が巡って、それでもふと、ふりむいてしまったので書いた。うしろには夢がないのだよ、私。がんばっていこうね。

※この詩は寺山修司の「さらばハイセーコー」という詩です。タイトルはちょっと意外性があるけど(笑)ひしひしと募るものがある詩だと思います。寺山修司の、あの字で書いてあるのを見てみたいな。

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