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#58 ブエノスアイレスで髪を切る(旅に出てから三度目)

※この文章は2013年〜2015年の770日間の旅の記憶を綴ったものです

南米アルゼンチンのブエノスアイレスに来てから、この旅に出て3度目の髪を切った
(1度目:バンコク、2度目:カトマンズ)
前回切ったのがネパールのカトマンズで、約2ヶ月半前のこと。ここ数年ずっとオカッパ頭を維持している身としては、2ヶ月以上耐えるのはやっぱり辛かった。加えて、子供のころからのくせ毛が嫌で、社会人になってからはずっと約半年に一回のペースで縮毛矯正をかけてきた。

それが日本を出てからもう丸9ヶ月。
さすがにストレート感は跡形もなく、特に湿気の多い日は目も当てられない状況になってきた。とはいえアフリカでは、縮毛矯正はもちろんカットをする勇気もなく「次に行くアルゼンチンで何とかしよう!」と心に決めて、ずっと耐えてきた。

想像以上に都会だったブエノスアイレス。
ここで泊まった日本人宿のオーナーに、さっそく美容室について尋ねてみると、いくつかの美容室の場所を教えてくれた。更に、親切にも知り合いの美容師さん(アルゼンチン人)に聞いてくれて、縮毛矯正のオーダーの仕方も教えてくれた。
その情報によると、ここでも日本同様ストレート・パーマと縮毛矯正があるらしく、うまく伝えないと、洗髪数回でストレート感が消えてしまう極めて弱いストレート・パーマにされてしまう恐れがあるらしい。そこで、スペイン語の「Alisado Permanente」(英語で言うところのStraight Forever)を紙に書いてもらい、それを握りしめて数件の美容室を視察。結果、店によって料金に200ペソ(2014年3月時点の日本円に換算して約2000円)ほどの差があり、翌日以降で要予約というお店と、本日中可というお店があった。

色々検討したように見えて、結局最後は勘(だってこれ重要だもの!)。
カランと扉を開けた時に迎えてくれた美容師さんの笑顔と雰囲気が決め手になった。

オーダーしたのはカットと縮毛矯正「Alisado Permanente」。いつも通り、日本で最後にカットした時の写真をスマホで見せると「Si!」と笑顔で返事が返ってきた。
まずはシャンプーから。適度なホットシャワーで、丁寧に流してくれた。続いてカット。最初からバッサリ切ってしまうのではなく、ある程度の長さを切った時点で「これでどう?」と確認してくれたのが好印象だった。そして、うなじにバリカンをあてた後に、懐かしのテンカ粉をはたいてくれたのが気持ちよかった。

いよいよ縮毛矯正。日本でずっと通っている美容院ではおおよそ以下のような工程で進み、同時にカットもオーダーすると5~6時間かかることもある。(大抵の場合、他のお客さんと掛け持ちで進められるため)
1.最初の薬液(還元剤)を髪に馴染ませて、しばらく放置する
2.薬液を洗い流した後、乾かす
3.ヘアー・アイロンをかける
4.二番目の薬液(酸化剤)を髪に馴染ませて、しばらく放置する
5.薬液を洗い流した後、乾かす

上記と比べると、今回の縮毛矯正はかなり違っていた。
まず工程1で使った薬液が日本のモノよりもずっと緩い液状だったことに、驚いた(日本のモノはクリーム状)。さらに「しばらく放置」が無かった上、工程2の「洗い流す」も無く、薬液で湿った髪にドライヤーをかけて、そのままアイロンに突入。工程4・5も無し。つまりアイロンをかけた後、スタイリングをして終了だった。日本の薬液だと粘り気と刺激臭がかなり強いので、この工程で終了はあり得ないけれども、幸い今回のものはほとんど粘り気が無く、臭いもきつくなかったので、不快感は無かった。

カットも含めて1時間半くらい。「本当にこれで終了…?」という不安は残ったけれど、出来ばえは日本のいつもの様子とそんなに変わらず、「あとは数日様子をみるしかない」と腹をくくった。

お店を出ようとしたところで、外は大雨。呆然としていると、美容師さんが奥から傘を持って来てくれた。見ず知らずの言葉もろくに通じない外国人に、返してもらえない可能性が高いにもかかわらず、ためらうことなく傘を持たせてくれた親切に感動。宿から徒歩10分くらいのお店だったので、翌日再び訪れて、傘と一緒に日本の千代紙で折った鶴を一羽、
お礼においてきた。

* * *
この時から約一ヶ月半ほど経過した今、日本で縮毛矯正をかけた時に比べると、くせ毛の復活が早い気がする。
つまりは、縮毛矯正というよりも「強めのストレート・パーマ」だったのかもしれない。

英語は全く通じなかったけれど、にこやかに対応してくれた美容師さん
この時は「日本の縮毛矯正と変わらない!」と思った
カラフルなウォールアートがそこかしこにに見られるブエノスアイレスの街
カラフルなウォールアートがそこかしこにに見られるブエノスアイレスの街

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