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笑う男 第2話

はじめに伝えておくと、
あくまでこれはフィクションである。


アイスを最後の最後までキレイに食べ切ろうとカップを傾けてはスプーンでこそぎ取るように
僕の頭のなかにある想像力をこれでもかと掻き集めて、自叙伝を綴ってみているのだ。


なので、
多少のデフォルメにはご寛容願いたい。

男に生まれてよかった、と思うことがある。

ひととのつながりを大切にしたいからこそ
人間関係の悩みはなるべくつくりたくない。
仲良しグループだハブるだなんだ、
そんなイメージがことの外女子には強く、
世間でいう女子たちはさぞ大変なのだろうと
生態をよく知りもしないくせに予想する。


ナンパに成功したことこそ記憶にないが
興味を持った場所に飛び込む勇気は持ち合わせている。
コロナ禍だというのに引っ越しをして拠点を変えて以降、
通わせてもらっている定食屋、
よく使うコンビニ、
すれ違う猫にだって挨拶を欠かさない。


思えば10代の頃には
家族以外とのつながりが絶たれたATフィールドってやつを経験したこともあった。
過去を振り返ることはあまり好まないけれど
もし忘れたい過去があるとするならば、
その時代なのだと思う。


語りかけるのは、自分自身だけ。
あれは、控えめに言って牢獄のような時間だった。改めて、抜け出せた自分を褒めてあげたい。


誰かと話すことで安心する。
居場所があることは嬉しい。
けれど僕は、
居場所を決めすぎない、
ということを決めている。
お前っていつも誰々といるよね、のような
世にいう「ツルむ」ってやつをしない。


むしろ、どこにでもいる、誰とでもいる、
そんなふうな立ち位置が心地よい。
ちょうど天秤の針がゆるりゆるりと止まっていくように、フラットでありたいと思う。


話せる場所が無限大にあることは
しばしば僕を安心させるのだ。


BGM
地獄でなぜ悪い/星野源



つづく

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