MAKI@あなたの人生代筆家

令和の紫式部(仮称) OL、スナックのママ、お悩み相談屋など パラレルワーカー。 大…

MAKI@あなたの人生代筆家

令和の紫式部(仮称) OL、スナックのママ、お悩み相談屋など パラレルワーカー。 大切な想い出回顧を伴走し お聞かせいただいた半生を 短篇物語として代筆する活動を2024年開始。 『あなたの人生、物語にします』 note自叙伝垢『Mack5』にて第8章まで連載中

最近の記事

変わるもの、変わらないもの 第5話(最終話)

彼女が語る半生を聴きながら 映画『ラン・ローラ・ラン』を思い返していた。 愛する人のために奔走するローラと彼女の姿を重ね、 万が一、これから先、 彼女が選択を誤ることがあったとしても きっと正解にたどり着くため あるいはその選択を正解にするために 神様が彼女に再生のチャンスを下さるのでは、と 本気でそんなことを考えている。 (↓ご興味のある方は映画を是非に) どんな色がすき? クレヨンの色を唄うその歌を 子どものころに口ずさんでは 好きな色ってほんとうにいちばん先にな

    • 変わるもの、変わらないもの 第4話

      懺悔します。 これまでの人生、 クラウチングスタートにこだわっていたわたしは 置かれている状況や環境を言い訳に 早く走れない自分と、早く走りたい自分と、 パラドックスを抱えていました。 変えられないものは、変えられない。 太陽が東に上るように、 犬がワンと鳴くように、 桜が春に咲くように。 ふと、まわりに目を向けると そこには素敵な人たちがいました。 好きなことを見つけて、表現して、 人生を謳歌するその姿はしあわせに満ちていて こちらまで豊かな気持ちになります。 変え

      • 変わるもの、変わらないもの 第3話

        公園の水飲み場は今日も無料である、 安全な水を無料で飲める日本に感謝する。 女3人、暮らしたあの部屋にも 平和だった時代はきっとあったのだろうけれど おばあちゃんっ子だったはずのわたしは 気付けば祖母にも悪態をつくようになり それは家族に、というより この生活を強いる運命へのアンチテーゼのような思春期を過ごしていました。 母は、美しいひとです。 夜になると、いちだんと輝きを増すひとです。 そんな働く母の姿が好きだったし 母が不在のあいだ、寂しい思いをさせず 可愛がってくれ

        • 変わるもの、変わらないもの 第2話

          あの頃、 悲劇のヒロインな自分が 心地よかったのかもしれません。 ほとんど確信していることは、 わたしほど努力した同級生はいないし わたしほど家族に苦しめられた女はいないし わたしほど自ら人生を開拓したひとはいない そう、わたしという未熟者は 世の中へのアンチテーゼを抱きながらも 這いつくばって、這いつくばって、 足掻き踠いた人生を送っていたのでした。 臥薪嘗胆、 それでも見上げることを諦めなかったのは 家族が与えてくれた愛に似たなにかと わたしの感じていたコンプレックス

        変わるもの、変わらないもの 第5話(最終話)

          皆の強みを解放する旅人サキコの話 第3章

          コンサルを生業とし始めたわたしは、 行動で人生を変えていくことを体現する。 所属するコミュニティを変え、お客様も変わり、 でも学ぶことは辞めず さらにはコンサル会社にも一時期所属し想像だにしない学びの機会を経てさらに熟成していく。 そこから、ただがむしゃらに頑張るのではなく 自身の強みを活かしたことをしているだけで かつてはどこか他人事だった収入も 右肩上がりどころか鰻上り、 その分使う金額も桁違いとなり、 これが循環なのだと、まざまざと感じる。 あとは、そうだな、 パー

          皆の強みを解放する旅人サキコの話 第3章

          皆の強みを解放する旅人サキコの話 第2章

          ダンスはわたしを解放するツールとなった。 全身で表現する行為は魂を喜ばせるに足ることとなり、わたしがわたしへと蘇っていくのをまざまざと感じる。 何かを始めるのに遅すぎることはないのだと悟るのだ。 時を同じくして こころの声に耳を澄ませるため、 学ぶことも始める。 書籍やピンときた発信者を追うことはするが、基本は独学である。 なぜあのとき、ぞんざいな扱いを受けたのか。 なぜあのひとは、心と裏腹な行動をするのか。 なぜ空は青いのか、なぜ猫は鳴くのか。 まるで小さな子どものよう

          皆の強みを解放する旅人サキコの話 第2章

          皆の強みを解放する旅人サキコの話 第1章

          音楽と愛猫とアルコールさえそばにいてくれたら わたしの人生は満たされていたはずだった。 多くを語らずしてわたしに寄り添ってくれる存在だったのだと思う。 言動でけたたましく感情を主張する人間社会と相反する唯一の癒しだった。 人間のもつ善意とそうでない感情、 発する言葉と裏腹なこころの声、 エネルギーをもつすべての生き物たちの感性を一身に浴びながら、 何度生きることに絶望を覚えたことだろう。 大好きな音楽はいつもそばにあった。 楽器を奏でること、歌を歌うこと、 内なる想いを

          皆の強みを解放する旅人サキコの話 第1章

          変わるもの、変わらないもの 1話(全5話)

          これは、 彼女の再生の物語である。     生きることに真剣で 変わることに直向きで いつも自分と闘い続けてきた彼女が 自身を見つめ直す機会となった この自叙伝代筆は わたしの創作活動に強い意味をもたらすこととなったのだ。 「恥の多い生涯を送って来ました。」 「わたしには、普通の女の子の生活というものが、見当つかないのです。」 さながら太宰治の世界から飛び出してきたような口ぶりで、彼女はそう語り始めた。 彼女がこの自叙伝を依頼した想いは 文字通り賭けにも似ていて これ

          変わるもの、変わらないもの 1話(全5話)

          curious ladyは今日も行く 第5話(最終話)

          出会いは、夜の公園でした。 ウェブ広告のアルゴリズムに すっかり外国人好きが見透かされていたある日のこと。 偶然見つけたイベントで 性別国籍年齢不問、 たくさんのコミュニケーションが生まれた夜に わたしたちは出会いました。 友人たちからは 「ひとりでG7が開けるね」とカッコワライの揶揄をされるくらいには出会いを積み重ねてきたわたしでしたが その出会いは、 わたしを『条件』という柵から抜け出させてくれる、自然体そのものでした。 気づけば出会ったその日から 毎週、次の約

          curious ladyは今日も行く 第5話(最終話)

          curious ladyは今日も行く 第4話

          声に恋した話を残そうと思います。 やさしい人が好き。 これは 総人口の8割がきっと口にしたことがある 好みのタイプの表現。 やさしくて、どこか自信なさげで、 でもここぞというときに 大勝負に出ることができるのが 日本人男性のいいところだと、 異国文化に触れてみて気付かされました。 わたしたちの出逢いは、オンライン。 同じアイドルを推すファンとして 彼女のライブ配信ではお馴染みの いつもリアルタイムでコメント欄を賑わす そんなアカウントのひとりでした。 それから月日は流

          curious ladyは今日も行く 第4話

          curious ladyは今日も行く 第3話

          それから こころの向くままに恋をするのだけれど 好奇心、というのは厄介で 素敵なひとには 出会うべくして出会ってしまうもので 誰が呼んだか『1クールの女』 出会って、 魅力を感じて、 恋をして、 好きになって、 そうやって恋愛が始まるのだけれど まるでテレビドラマのそれのように 10話完結。 出会って、 魅力を感じて、 恋をして、 好きになって、 恋愛が始まって、 そして、別れが訪れる。 その頃にはまた違う出逢いがやってきて わたしはその扉を開けてしまうのです。 ビッ

          curious ladyは今日も行く 第3話

          curious ladyは今日も行く 第2話

          改めまして、CLです。 この度はわたしの自叙伝をお読みいただき ありがとうございます。 ありのまま、お伝えしていきます。 しばしお付き合いくださいませ。 好きな映画があります。 「あのキスの時、少しは愛はあったかな?」 そう問いかけるヒロインが切なくて儚くて 泣きながら何度も観ていたのをありありと思い出すのです。 かくいうわたしは、 初めて恋人ができた中学生のころ、 友だちにも家族にも内緒の付き合いは ままごとのような、でも真剣なものだと 信じてやまないものでした。 言

          curious ladyは今日も行く 第2話

          curious ladyは今日も行く 第1話(全5話)

          好奇心を持ち合わせた性格とは よく聞くところと思うけれど 好奇心が靴を履いて歩いているようなひとと出会うのは稀で、わたしは一瞬で目を奪われた、 否、心を掴まれたのです。   事実は小説よりも奇なり。 バイロンが説いたこの言葉がそのすべて。 この出会いで、わたしのなかに渦巻いていた叶わなかった願いたちが色づき始めたのは、言うまでもないことでした。 これは、 わたしの出会ったある女の子の物語。 curious lady=CLと呼ぶことにしようと思います。 CLは言いました。

          curious ladyは今日も行く 第1話(全5話)

          笑う男 第3話(最終話)

          自己肯定感、承認欲求、 そんな言葉が持て囃されて久しい。 高いとか低いとか、 強いとか弱いとか、 一体全体誰のものさしで測れば気が済むのか いつも疑問に思っている。     かくいう僕も、 自己肯定感には振り回されて 生きているような気がする。 これを低いと自認する時期には、 匂いを嗅ぎ分け、誘惑たちが しばしば僕に手招きをしてきたものだ。   騙すほうより騙されるほうがマシと謳った曲が 僕がまだかわいいかわいい幼児期だったころに 流行ったらしいけれど 騙されるほうがマ

          笑う男 第3話(最終話)

          笑う男 第2話

          はじめに伝えておくと、 あくまでこれはフィクションである。 アイスを最後の最後までキレイに食べ切ろうとカップを傾けてはスプーンでこそぎ取るように 僕の頭のなかにある想像力をこれでもかと掻き集めて、自叙伝を綴ってみているのだ。 なので、 多少のデフォルメにはご寛容願いたい。 男に生まれてよかった、と思うことがある。 ひととのつながりを大切にしたいからこそ 人間関係の悩みはなるべくつくりたくない。 仲良しグループだハブるだなんだ、 そんなイメージがことの外女子には強く、

          笑う男 第1話

          そのひとはいつも笑っていた。 例えばそれは笑顔というのではなく、 表情というよりまとう雰囲気が笑っているのだ。 お、なんだか悪くない書き出し。 そう詩的な表現を捻りだすくらいには、 僕も大人になったものだ。 いや、もう十分に大人だ。30歳になる。 これは、僕のこれまでの人生を文章に起こしてみることにした、いわゆる自叙伝ってやつである。 30歳の節目に、悪くない思いつきだ。   御多分に洩れずコロナ禍で人生は180度変わった。変えたのは自分。 住むところも、仕事も、 付き