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劇団四季「アラジン」と仕事を続ける事

■アラジン観てきました

 熱望していた劇団四季のミュージカル「アラジン」を、昨晩ついに娘2人と鑑賞してきました。
 ブロードウェイ以外での海外上演は2015年の劇団四季上演が世界で初めてとなり、かれこれ・・もう7年のロングランとなる作品です。

 鑑賞しての感想は、ただただ、

 プロの仕事はすごい!

 オープニングのアグラバーの町の風景やら、商人の行きかう埃っぽさとか、女たちの妖艶さとか、そのまま物語がリアルに舞台上に再現されていて、そのあたりの一般人には「スゴイ」としか言えないのです。

 また、アラジンについて語るとき、まず誰もが特筆するのは元オペラ歌手・瀧山久志さん演じるジーニーの圧倒的存在感なのでしょうが、わたしが最初に心惹かれたのは舞台装置のカラクリ変容でした。


■凄まじく動く

 その見事さがまず表現されるのが、アラジンがジャスミンの手を引いてアグラバーの町を駆け抜けるシーン。歌で言うと、日本題「ひと足お先に」の場面。
 背景である建物が前に後ろに、右に左に滑って、そして町人たちがうまく行く手を阻んだりして、観ているこちらも疾走感でドキドキする演出なのでした。

 まさに映画の世界。

 観客であるわたし達ひとりひとりの目線が、アラジン、ジャスミンと一緒に走り、衛兵に追われまくるのです。


■煙とともに現れるジーニー

 厂原時也さん演じるアラジンは、王の座を乗っ取ろうとする邪悪な大臣・ジャファーとその手下・イアーゴに乗せられ、「ダイヤの原石」と呼ばれる人格の者しか中に入れない魔法の洞窟に踏み込みます。
 その場面でも、洞窟に一歩踏み込むと舞台世界は洞窟の外側から内側にサッと変わります。

 約束を破って、魔法のランプ以外の宝物に手をかけてしまうアラジン。
 その瞬間、出口はガラガラと岩が崩れ落ちて閉ざされます。

 絶望の中、ランプに書かれた文字を読み取ろうとアラジンが何気に魔法のランプをこすると・・いよいよ、待ちに待ったジーニー登場です。

 この登場の仕方が、またアッと驚く仕掛けになっています。

 煙とともに、ランプの中の狭い牢獄から魔人が捻り出てくるわけですから・・(ここはネタバレしません。実際に鑑賞してください)。


■プリンス・アリーのパレード

 もうひとつ、舞台上に表現された場面として印象深かったのが、アリー王子のパレードのシーン。ここも映画であれば、豪華なパレードが次々と繰り出し、華やかさ満載になる部分です。

 劇団四季のアリー王子のパレードも、正面奥にあるお城の門から鮮やかな衣装のダンサーが現れては捌け、現れては捌け・・と、何人いるのだろうと思うくらい続きます。
 同じ役者さんたちが服の色を変え、装飾品を変え、持ち物を変え、次々繰り出してくるのです。

 長いパレードの最後に、やっと、プリンス・アリー。

 この場面もミドコロのひとつです。


■そして、魔法のじゅうたん

 ジャスミンの部屋に忍び込んだ、アリー王子。しかし、ただの金持ち自慢の王子候補に、ジャスミンの誤解は簡単には解けません。

 ならば、と、窓の外に飛び降りるプリンス・アリー。青ざめるジャスミン。魔法のじゅうたんが舞い上がります。
「僕を信じて」の言葉に、ようやくジャスミンは気付いたのでした。

 ♪ A Whole New World

 この魔法のじゅうたんが本当に魔法で、どうなっているのか謎の謎の謎でした。


■フレンド・ライク・ミー

 やっぱり瀧山ジーニーについては、書かないわけにはいかないですね。

 わたしにとって、ジーニーは山ちゃんこと山寺宏一さんであり、ウィル・スミスであり、瀧山久志さんであり、これは量子力学で言う「シュレディンガーの重ね合わせ」です。
(今回も、さり気なく好きな分野を挟んでしまいました・・(;´Д`))

 ところで、YouTubeでハリウッド版アラジンがUpされていますが、まさにあの振付で、あの動きで、でも息が上がることなく、最後まで踊り歌い上げる瀧山ジーニー。

 チケット代の何倍もの価値がある、パフォーマンス。

 瀧山さんのジーニーはダンスと演技で人を楽しませ、歌で観る者に魔法をかけ、気が付くと日々の緊張や肩の力を緩める、そんな妙なお薬みたいな存在でした。

 そして瀧山さん以外にも「アラジン」を構築する劇団四季の素晴らしさは、これほどまでにクオリティーの高い、かつ高技術のミュージカルを俳優が代わりながらとはいえ、7年間もレベルを維持しながら上演し続けていることではないでしょうか。

 ジャスミンのセリフに「朝から晩まで!」と言う場面があるのですが、まさに朝から晩までレッスンをされ、毎回毎回、同じだけの感動を手を抜かず、気を抜かず、同じだけのストーリーをやり続けてこられるプロ意識に、イチ観客のわたしは激しく奮い立たされるのです。

 このプロ集団を前にして、毎月の仕事のルーティーンに「飽きた」なんて、口が裂けても言えない。

               * * *

 今回の画像は、そのままですが魔法のランプをお借りしました。
 わたしにも、ジーニーのような相棒がいたらいいのにな。
 いまだ感動冷めやらぬ・・

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