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14.ラトビアのマイク

 さて、リトアニアを後にして、向うのはロシアの大都市サンクトペテルブルクなのだが、3日ほど余裕があったので、せっかくなら隣のラトビアの首都リガにも立ち寄ろうと考えた。
 ビリニュスからの移動はWifiも液晶も、コーヒーメーカーも付いた豪華バスを選択した(Lux Express)。飛行機ばかりではうんざりするだろうし、サンクトペテルブルク行きのバルチック航空は、必ずリガで乗り換えなのである。リトアニアの名物キビナイという肉まん風のものを頬張りながら、バルト海を左手に見つつ北上した。リトアニアからエストニアに至る人間の鎖の道のりを体感しつつ、約4時間半の予定だったが1時間も前にラトビアの首都リガ到着してしまった。

 リガのバスターミナルで、JZマイクロフォンの人の迎えを待った。JZマイクロフォンのBH(ブラックホール) というマイクは、最近のヒカシューの歌の録音で使っているマイクで、これがその(長方形の空洞のある)カタチといいかなり気に入っているものなのである。
 彼らが来るまで、ターミナルで両替(リタスからラッツ)をしたり、トイレ(有料)に行ったり、時間を潰した。しかし、英語がまったく通じない世界。ラトビア語かロシア語しか通じない。 ビリニュス以上にロシア語率が高くてどぎまぎした。
 1時間後、現れたJZマイクロフォンの広報のふたりエルビスとエディスがホテルまでワゴンタクシーをチャーターして連れていってくれた、次の日の午後遅くホテルに迎えに来るので、それまで観光してくださいとのことだ。
 ぼくらは次の日も待てずにすぐに夕方の旧市街のラトビア郷土料理レストランに直行。ビーバー肉のサラダとかヘラジカの料理とかを堪能。


 次の日は、パイプオルガンで有名なリガ大聖堂を眺めて、ウペという民族楽器屋さんへ。コクレという弦楽器がなんとも美しい音色だ。フィンランドでカンテレ、ロシアでグスリ、エストニアではカネルと呼ばれているチターの仲間だ。、五万人の大合唱で有名なフェスティバルがあり、ギドン・クレーメルの出身地でもあり、ハンザ同盟の港町故かブレーメンの音楽隊の記念碑もある。ラトビアはかなりの音楽の国に違いない。
短い観光を堪能しホテルに戻り、いよいよ、ラトビア訪問の目的地JZマイクロフォンに。エルビスとエディスの車に乗って15分ほどのドライブで本社に到着した。
ホワイエにはたくさんのマイクロフォンが飾られている。Blackhallはもちろん見知らぬものまで。
「あれ?」坂出が声をあげた。
坂出が持ってると言っていたラトビアのマイクロフォンViolet Designが飾れているのである。
「これは?」
「ここで作っています」
あまりに早くラトビアの秘密がわかってしまった。ラトビアのマイクロフォンは、JZが作っているということなのである。
因みにViolet Designの設計者の名前を見ると、Juris Zarins氏である。彼の頭文字をみてみよう。JZじゃないですか。(2012年10月15日)


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