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81.オノマトペがざくざく

 日本語にはオノマトペ(擬音語、擬態語)が多いとよくきく。ぱらぱらといろんなものを読んでいると、擬音語もさることながら、擬態語がざくざくあるのだそうだ。
 CM作曲家の桜井順は、面白い本を書いている。「オノマトピア―擬音語大国にっぽん考」である。軽妙な文章で、古事記の天地混沌をかきまわす音「コヲロコヲロ」から野坂昭如の「ジンジンジンジン血がジンジン」まで登場する。
 桜井は、「オノマトピア」とは「オノマトペ=擬音語」と「ユートピア=理想郷」の合成造語である。と言っている。「オノマトピア」。実は英語ではこう発音する。「オノマトペ」はフランス語だ。日本では「オノマトペ」が定着しているので、「ユートピア」を合わせるなんて意味をつくるとは、なかなか洒落ている。
 もちろんぼくも「オノマトペ」好きで、ヒカシューの歌のタイトルに、「プヨプヨ」「ドロドロ」「びろびろ」など大量に使っている。
 よし、じゃあいっそのこと、これでコンサートをひとつつくってやれ、と思い、桜井さんに電話した。
「どうでしょう?」
「いいですね。どんどんやってください」と許諾を得た。
 実は、この本の中には、ぼくのソロヴォイスアルバム「クチノハ」も取り上げられている。願ったり叶ったりである。
 「クチノハ」のような音響の極みのようなものまで、「オノマトペ」に含めると、スイスのチューリッヒではじまった「ダダ」もまさにそれである。
 草野心平のカエル語で書いた詩も入るだろう。チントンシャンと三味線つまびく江戸流行り歌から民謡にもたくさんのオノマトペが存在するので、このイベントの内容は、自然と膨大なものになっていく。
 そういえば時々自動って劇団もたくさんオノマトペの歌をつくってたなぁ、とか、姉妹デュオのチャラン・ポ・ランタンもユニット名がまんまオノマトペではないか。
 ぼくがヴォイスパフォーマンス講座の生徒を中心に何作かつくった「チャクルパ」もそのものである。
 もうとにかく世の中がコロナ禍でしっちゃかめっちゃかなのに、この国の中枢は、おろおろするばかりのポンコツがしきっていて、残念な空気が、どんよりとウイルス以上にまん延している。
 ここはもう、意味不明に入場制限されても、スカッとするようなパフォーマンスで、反骨の狼煙をもくもくあげておかないと、おそらくこの国はつぶれるだろう。
 文化庁長官もはじめて作曲家から出たのに、ききかじりの経済原理で文化を語るようなバカ者だったので、こちらの落胆ははげしい。しかも統一教会と関係・・
 そうそう、今日はワクチンを打ってきた。右腕がやけに痛い。

巻上公一   2021年5月24日



オノマトピア ミーティング in 熱海 / Onomatopoeia meeting in Atami 企画書
パンパカパー!
「オノマトピア」とは「オノマトペ=擬音語」と「ユートピア=理想郷」の合成造語である。
日本語はオノマトペの宝庫と言われていて、文学・芸能から社会風俗にいたるまで、ざくざく例がある。
オノマトピア ミーティングは、すこしだけオノマトペを意識したパフォーマンスをドーンと集結させようという企画である。
 ピアノをポロンポロン弾いたり、チントンシャンと三味線をつま弾くもよし。
 「ぎゃあああああああああああっ」、と絶叫するもよし。
 閉塞感あるコロナ禍の中、ココロをヒビキで楽しませようという企画である。
会場は、起雲閣音楽サロン。コロナ禍なので、客席を半分にしての上演になる。
内容は、こんな感じ。
一日目
1 《江戸のオノマトペ》柳家小春(江戸音曲)
2《オノマトペ談義》 町田康(作家、音楽家)、巻上公一(音楽家、超歌唱家)
3 《エレクトリックオノマトペ》 出演: Carl Stone(作曲家、コンピューター)、赤い日ル女(声) 
4《オノマトペシアター》『ライネキブチウな時々自動』 時々自動 
2日目
1《ソロオノマトペ》『クチノハソロ』 巻上公一(音楽家、超歌唱家)
2 《ダダイズムオノマトペ》 超歌唱オペラ『チャクルパなる音響の果て』
出演: 市毛友美子、エルコ、大隅健司、尾引浩志、栗林久美子、原牧生、檜山ゆうこ、星野晶子、JanMah
3 《歌うオノマトペ》 町田康(作家、音楽家)、巻上公一(音楽家、超歌唱家)、チャラン・ポ・ランタン(小春:アコーディオン、もも:歌)
4 《オノマトペシアター》『ライネキブチウな時々自動』 時々自動


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