見出し画像

(69)イースターに向けて~カリメロとウサギのブローチ

3月に入って、だいぶ春めいてきました。
この時期、沈丁花や梅がほのかに香る遊歩道が自宅のすぐ前にあります。
上弦の月の今夜など(2022年3月10日現在)平安人よろしく風雅な夜のそぞろ歩きといきたいところですが、ぐっと我慢。4月の仕事に向けて色々準備をしています。
百貨店のフランス展担当の方に、今年はイースター(復活祭)をテーマにする為、リア・スタンのウサギとカリメロのブローチの紹介をするよう依頼されました。

画像6

カリメロはこの写真の卵を被ったひよこのキャラクターです。

イースターのシンボルが卵であるところからカリメロにご指名があったようです。(笑)

イースターはフランス語でPâquesパックといい、キリストの復活と春の訪れを祝う日。
イースターの日にちの決め方を改めて確認したところ、毎年春分の日以降、最初の満月から数えて一番はじめの日曜日だそうです。
2022年のイースター4月17日は、ちょうど満月で日曜日、星座や暦に詳しい人ならなにかしら意味があると説くのではないでしょうか。
2022年は4月17日日曜日(満月!)
2023年は4月9日日曜日(満月は4月6日)
2024年は3月31日日曜日(満月は25日)

なぜイースターには卵か、というと、命が卵の殻を破って生まれてくることから、キリストが死という殻を割って復活したことをなぞったと言われています。
ウサギも多産であるところから生命と繁栄の象徴であり、イースターのキャラクターとして定着しています。

画像1

カリメロのブローチを広告媒体に載せるにあたり、担当の方からリア・スタンがカリメロの版権を取得してブローチを制作している証明が欲しいと連絡がありました。
リア本人から版権を買って制作したとだいぶ以前に聞いてはいましたが、再確認のため電話を入れました。
リアの返事を要約しますと、
「カリメロのブローチは、ある会社からオファーをもらい制作をしてたもので、版権は1970年前後に取得しました。同様に「子供の島」(筆者注:フランスのセサミ・ストリートのような子供番組)のキャラクターも版権を取得し作品を作っています。
私達の何十年もの創作活動の中で、版権無しに作品を作るようなことを決してしないことは、Hidkeoはよく理解してくれていますよね。
催事がんばってね」、とのこと。


ブランド「リア・スタン」には、安価な素材で作られた模倣品が大量に出回り、1981年会社が倒産に追い込まれたという経緯があります。
初期のボタン制作から始まり装身具についても、彼女自身、デザインのオリジナリティにはこだわりがありますし、非常にプライドを持っています。

ブローチの作品群は1950年代後半から1981年一旦事業を休止するまでのものはヴィンテージ・ヴァージョン、80年代後半活動を再開してからのものはモダン・ヴァージョンと呼ばれています。それぞれに良さがありますが、ノスタルジックで素朴な風合いのヴィンテージ・ヴァージョンに比べ、モダン・ヴァージョンは意匠性の向上が顕著です。

辛い時期を家族で乗り越え、ファンの熱い要望で制作の場に戻るにあたって、リアと夫フェルナンが目指したのは、誰にも模倣できない色彩と素材を創り出すことでした。言うならば、作品を美術工芸品もしくはアートと言える域まで到達させることでした。

画像6


これについて語り始めると、私も熱くなってしまい、長くなりますので、またの機会にお話しさせていただきますね。

カリメロは、子供番組のキャラクターですが、意外や意外、大人の男性がジャケットに付けるとおっしゃって買ってくださることもあります。殻の部分にレースが織り込まれている等ディテイルにこだわるリアと夫フェルナンの矜持が伝わるのでしょうか。

店頭で、お客様が
「あ、カリメロ!懐かしい!」と声を上げてくださる時、その場がふわ~っと和む力も感じます。

画像7

画像8

画像4

画像9

Alice(アリス)と名付けられたウサギとこのカリメロのブローチが皆さんに楽しい会話をもたらし、
心持も軽やかな春を運んでくれますように!

ちょっとした幸せ (62)フランスのセサミ・ストリート「子供の島」

スクリーンショット (136)

1970年代フランスの子供たちが大好きだった番組「子供の島」
セサミストリートや日本の「おかあさんといっしょ」のようにユニークな想像上の動物のキャラクターが出てきます。

youtubeで動画がありましたので、ご参考までに載せておきますね。

画像6

左から 「勉強するカエル グリブイユ・グルヌイユ」「グルッチ」 「カジミール」「レオナール」「アンチボル」
これらの作品も、一つ一つ色や素材を変えて丁寧に手仕事で作られています。
今にも喋りだしそうな表情が、その番組を知らない大人のお客様をも惹きつけています。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?