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(67)マルシェの楽しみ~花を買ってうちに帰ろう!

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パリの隣Neuiily(ヌイイ)に住んでいた頃、通っていたマルシェは二か所ありました。
市庁舎近くの、洋服や本、アクセサリーを売る店まである大きなマルシェと、アパルトマンの真向かい、通りの名前をとってウインザー・マルシェという建屋の中に良品が集まる小さなマルシェ、どちらも水・金・日曜の早朝から13時頃まで開いていました。

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流石、食料自給率100%を超えるフランスのマルシェ、
新鮮な野菜や果物、バター、チーズ、フロマージュ・ブラン等乳製品、肉、魚、自家製のジャムやジュース等々、興味深い旬の産地直送食材が並びました。
買い物と同時に、毎回フランス国内への旅心を刺激されたり、マルシェの威勢のいいお店の人達との会話に癒されていました。

フルーツ

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なす

からすみ

(からすみを売りに来ている気さくなおじさん)

ヌイイでの2年余の生活は多くの未知の経験をもたらしてくれましたが、一方、ロンドンの時のように目標もはっきりせず、ほとんど知り合いのいない状態でのスタートで、時折寂しさは襲ってきました。加えて持っていたのは帯同家族用の働くことのできない滞在のみ許されるヴィジター・ビザ、本帰国してからの自分の展望がぼんやりとしか見えず漠然とした不安を心の片隅に抱えていたように思います。

気持ちを明るく切り替えたいときは、マルシェで一通り買い物を済ませた後、季節の花を決まった店で買っていました。
店先にぎっしりと置かれた花はまるでそのまま地方の風景を切り取って運ばれて来たよう。香り高く生き生きと大地のエネルギーに満ちていました。

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マルシェで買った食材を抱えて帰り、キッチンに仮置き、花を花瓶にいけて、それを愛でながら食事の下ごしらえを始める。
そのシンプルな時間を過ごしていくうちに、少しずつ初めての「どこにも所属しない生活」にも慣れていきました。
2年はあっという間に過ぎ、本帰国を迎えることになってしまい、もっと早く気持ちを切り替えて時間を有効に活用したり、夫との旅行だけでなく、あちこちフランス国内を訪れて楽しめばよかったと後悔しました。

が、あの時の心持ちがあってこそ、近隣の人達との出会いがあり交友関係ができ、今に繋がっていることを思うと、必要な時間だったのかもしれないと改めて思います。

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マルシェで花を買っていた時ほどではないですが、今もパッと気持ちを盛り上げたい時は季節の花を買ってうちに帰ります。
アレンジはあまり得意ではないですが、特に春先の水仙、フリージアは大好きで、その香りに癒しと励ましをもらっています。

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(阪急うめだフランス・フェアに出店中です。撮影は出会いに感謝感謝のフラワーアティストYokoさん)


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