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トフスランとビフスラン

『たのしいムーミン一家』
登場するトフスランとビフスラン。

独特の喋り方をするこのふたりは
ToveとVivica Bandlerの分身である模様。

Toveと劇作家・演出家のVivicaは
1946年の冬から1947年の春までの間
恋愛関係にあった。

Tove Jansson書簡集。英語版もあります。

Toveの書簡集を見ると
当時、Vivicaと秘密裡に
交わされていた手紙に
お互いの呼び名である
TofslanとVifslanが登場している。


Vivicaへの手紙。署名がTofslan=Tove
呼びかけがVifslan=Vivica

手紙はイラスト満載のものもあって、
Vifslanの肖像画も!

このイラストは英語版書簡集には
もちろんのこと、
トーベ・ヤンソンの評伝本
『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』
(フィルムアート社・刊)にも掲載されている。

森下圭子さんとの共訳本です

ところで『たのしいムーミン一家』に
登場するトフスランとビフスランの
性別は不明で、トーベが
ふたりを描写する際にはひとりずつ
”Tofslan” "Vifslan" とするか、
De(=they)としていて、
3人称単数の代名詞
(英語でいうところの"he" や "she")は
使われていない。

ちなみに、この物語にも
登場するモランは
hon(=she)の代名詞が
使われているので
女性だということがわかるが
年齢については言及されていない。
そのため、
旧版訳の「ばあさん」という表現を
新版では改めてある。

そして、トフスランとビフスランの
不思議な喋り方は
原書では語尾に"sla"をつけたもので
(映画『トーベ』でもトーベとヴィヴィカが
語尾をslaにして話している場面が…)
「でも、いやスラなこといわれても、
ひるんじゃだめスラよ」という感じ。

資料が残っていないので
推測ではあるが
「入れ換え語」は恐らく
英語版由来ではないかと。

モラン、うんと若いのかもしれません


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