違う、そっちじゃない!
いつもならぐっすり冬眠している筈の真冬に
目が覚めてしまったムーミントロール。
見たこともない冬の世界にひとりだけ
放り出され、戸惑いと怒りが渦巻く中
救世主が現れる。
ちびのミイ、登場!
洞窟で姉のミムラと一緒に冬眠していた
ミイも目を覚ましてしまったのだ。
さて、ミイが防寒着に着ている
薔薇模様のコレ。
旧版では「たまごいれ」となっていて
確かに卵型に見えてしまうのだが、
原書を参照するとkaffepannsmössanとあり
コーヒーポットのカバーのことなのだ。
少し前の頁でムーミン屋敷から
なくなってしまったと言及されていた
「ばらの刺繍がついた、コーヒーポットの
カバー」がこれである。
物語の終盤、このカバーをミイは
繕おうと奮闘するが……。
kaffepannsmössanというのは
こんな感じ↓のもの。
カバーから、ちびのミイの大きさが
想像できる……けれど、物語によって
ミイの大きさの描写も違ってくるので
あくまでもこの物語では、ということで。
そして「たまごいれ」はというと
別の場面で登場する。
原書表現はäggvärmaren で
英語でいうところの egg cosyのこと。
「ゆでたまごカバー」は
エッグウォーマー推奨なるも
残念ながら採用されず。そして
「マフ(muff)」は円筒状の毛皮等で
手を入れて温めるもののこと。
「マフ」は「手袋」でよいのでは、という
意見もあったが、手袋だと思い浮かべる
イメージが違ってくるだろうし、
ミイはこの後、子りすのしっぽで
「小さくてかわいいマフをこしらえようと」
するのだ。となると、モフモフな語感からも
ここは「マフ」じゃないとね!
ちなみにミイが加工しようとした
ゆでたまごカバーはぼろぼろになってしまい、
水あび小屋のストーブで燃やされてしまう。
äggvärmarenというと帽子スタイルのものが
多く、「ゆでたまご帽子」という訳もいいかも。
ムーミン家のカバーは一体
どんなものだったのか
それは永遠の謎なのだ……。
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