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その日は突然やってきた

Boel Westin著のトーベ・ヤンソン評伝は
2014年11月に講談社から、そして
2021年10月にフィルムアート社から
日本語翻訳版が出版されている。

今回は2014年出版の講談社版の
共訳を担うことになった経緯について。

GW明けの5月某日の朝
その日は突然やってきた。
数日前にSNSにあげた
トーベ100周年関連記事の翻訳を
たまたまご覧になった編集者さんから
評伝共訳のオファーが来たのだ。

当時、トーベの生誕百年の日に
出版を予定していた評伝翻訳本の制作が
とんでもなくこんがらがった事情で
進行が遅れており、このままでは
間に合わない、でももう一刻の猶予もない!
ということで、後半部分の翻訳を…と
お声が掛ったのだ。

しかし、私には出版翻訳の経験が皆無だった。
しかも、当初の出版予定は8月9日。
それはいくら何でも無理でしょ!と思いつつ
こんなチャンスは二度と来ないぞ、ということも
わかっていた。そして同時に何故か
【根拠はないけど、
絶対にできないという気しない】
という謎の自信(のようなもの)も感じていた。

そして、担当編集者さんの
「率直なところ、私自身も
(オーバーかもしれませんが)
賭けになるご依頼です」
という言葉を聞いて
気が楽になったこともあり、
それなら…とトライしてみようと思い、

「取り急ぎ試訳をさせていただきますので、
そちらをご覧いただいてご依頼に耐えうるか否かを
 ご判断いただければと存じます」と
返信してしまったのだった。

さいは投げられました。運命の星がみちびくままに、わたしは自分を投げだしたのです。

新版『ムーミンパパの思い出』


当時はもちろん、ムーミン原作そのものに関わることになるとは思いもよらず……

何だか大変なことになってきた…と
思いつつ、その日の夜には試訳テキストが
届いた。う、難しい……。

そしてダメモトで提出した訳は
何とOKが出てしまった。
これはもう、突っ走るしかない。

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