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み、みっともないじゃないか!

『ムーミンパパ海へいく』7章
大波でびしょ濡れになった漁師が
ママから着替えのズボンを渡される場面、
旧版では
「おれはこんなズボンはいやだね。
みっともないズボンじゃないか。」
漁師は、歯をガチガチいわせながらこういいました。

となっている。

この箇所、現在流通している原書は
何の変哲もないレイアウトなのだが、

1980年代に購入した原書と
英語版(今も昔も)では
遊び心たっぷりなレイアウトになっている。

スウェーデン語原書版では
文の途中で行の並びを崩したり
単語の間をあけたりして、
英語版では吃音にすることで
寒さに震えている感を出している。

現在の原書にはこういう遊びは
なくなっているが、
日本語版でも歯をガチガチさせて
震えている感を出したい!
ということで、文字レイアウトは
変えられないけど、訳文はこのように。

「こ、こんなズボン、おれはいやだね。み、みっともないじゃないか」
漁師は、歯をガチガチいわせながらいいました。

新版『ムーミンパパ海へいく』7章

と、今になって愕然。
「いわせながらいいました」って……!
うわあああああああああああああああっ、
どうして誰も違和感を抱かなかったのか?

【未来への引継ぎ】
ここは何卒
「歯をガチガチさせながらいいました」
あたりにして頂きたく……。

こ、こんな訳、おれはいやだね。み、みっともないじゃないか。
申し訳ございません、恐縮至極!!


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