2019レイラ誕生日

レイラという猫 その10

10. ウールサッキング その1

これを書いている2019年4月20日は、レイラ2回めの誕生日だ。
Hさん宅の庭で野良猫が産み落としたメス猫、それがレイラだ。正式な誕生日は分からない。

僕らは獣医さんの診断とウチに貰われていった「6月20日」という拠り所から、彼女の生誕を2017年4月20日と決めた。
兄貴猫・ユーリの10日後の日付けだ。分かりやすく覚えやすい。
野良猫は春生まれが多い。

僕、ナルセは自分周りの出来事をなるべくテキストに起こすようにしている。
それを文字数無制限掲載が可能なソーシャル──noteやFacebookに格納している。

これまで銀次郎、グミ、ユーリ、それぞれの随筆を書いてきた。
ノマドに関しては、書いてあるのだがまだ公開していない。漫画家・鈴尾粥先生にだけ目を通していただいた。

そしてレイラだ。
レイラのテキスト「レイラという猫」は2年前に9連作を書いた後、断筆していた。

ウチの犬猫の誰より長いテキストを駆使しなければ、レイラの複雑な顛末の全貌を表せなかった。
しかし一年後、誕生日の時にさえイラストを出しただけ。他の動物達にはテキストを捧げているのに──。
それには理由があった。

二年前の9作めのテキストの最後において、懸案の検査結果がクリアになったことを書いた。
この時点でレイラ問題はひとつの解決を見た。それでもう書くのを止めてもいいかな、と思ったのは事実だ。

でも真相は、この直後から始まる「ウール・サッキング」禍に巻き込まれてしまったからなのだ。
もう悠長に文章に起こしている余裕がなくなってしまった。心理的に書けなくなってしまった。

6月にはウチにいたレイラだが、8月15日までSNSに出さずにいた。ユーリと銀次郎とグミだけを写真で出していた。
表向きいないことになっていた。

検査がクリアになり、待望の時が来た。ケージ越しにユーリと会わせることにした。
それが8月上旬だった。

最初は「シャーシャー」互いに言うだけで僕らを大いに落胆させた。
やっぱり検査待ちの時間が長過ぎたのか…そうも思ったりした。
が、一週間も経つと互いに匂いを気にするようになった。杞憂だったし光明が見えた。
僕たちはケージから出すことに決めた。
威嚇行動も当然あったが、程なくじゃれ合ったり「蹴り蹴り」をするようにもなり、僕は安心した。

それからやっと経緯を説明することも兼ね、随筆を書き始めたのだ。
それは「もふもふファミリー」のファンでいてくれる皆さんの為であり、もうひとつはレイラと会えなくなったHさんの為だった。

同時にこれは商業作でなくとも「作品」だとも思っている。
それで敢えて「9作め」と言うが、それを出した17年8月23日に僕はこのシリーズを断筆した。

それからは毎日上げ始めたレイラの写真がないこともあった。
「ウール・サッキング」が発現したからだった。
この夏から約1年、僕らとカオちゃんの試行錯誤と苦闘が続いた。

だが、2年経った今現在──皆の取り組みでこの問題を「ほぼ」収束させることが出来たのだ。
劇的に終わったわけでない。再発のリスクを抱えながらの、言ってみれば「寛解」だ。
それはダックス・グミのてんかん発作の落ち着き方と似ている。

それでも、レイラの記念日の今日から「レイラという猫」の随筆、この続きを書いていこうと思う。
ただ…おめでたい日なのに、いきなり辛気臭い話から始めなければならない。
しかしレイラの紛うことなき2年間の歴史なので目を逸らせない。

ありがたいことにお仕事を色々いただいている最中なので、昔のように連日書ける状況にない。
マイペースで少しずつ進めていこうと思う。

ウール・サッキングとは「羊毛をしゃぶる」の意。

猫が食べ物でない人工物を舐めたりかじったりする行動のことだ。
何故そんなことをするのか──?
問題行動とされるが、猫の気持ちは判明していない。

ただ動物の「常同障害」と分類され、ストレスが原因ではないかとされる。
明確な目的を持たずに同じ行動が繰り返されている状態を常同行動といい、それが異常だというのだ。
犬だと延々と尻尾を自分で追いかけ回しているような状態──。

最初にレイラの異変を見つけたのは飼い主たる責任を負うカオちゃんだった。
カオちゃんの部屋はフローリングの滑り止め用にブロック式のコルクボードを何個も敷いていた。

レイラが来てから2か月が経過した2年前の8月のことだ。
そのボードの一番端、はみ出た部分が欠けていた。

この時のレイラはユーリと会うのは一日に1時間程。それ以外はカオちゃんの部屋にいた。
カオちゃんがいる時は部屋に放し飼い。不在の時や寝る時は銀次郎の携帯ソフト・ケージに入れられていた。
このソフト・ゲージは銀の車移動用なのだが使い勝手が良く、ノマド保護の時にも活躍した。

レイラはカオちゃんを信頼し甘えていた。
夜泣きがひどくなり、周囲も気になるカオちゃんはケージから出すことにした。
レイラは枕元で一緒に寝るようになった。
動物を飼っている者なら分かる至福の瞬間だ。そんなことが2週間ほど続いた頃、ボードの欠損に気付いた。

オモチャをかじることに対してはユーリの子猫時代、ボクらは十分に学習していた。
だがまさか身の回りのものを食べてしまうとは夢にも思わなかった。

カオちゃんはこの頃には猫の飼育法や行動などを本やサイトで調べるようになっていたので、レイラがやったことだと確信した。
ボードの欠損部はレイラの食道より太いように見えた。
すぐに獣医へ連れて行った。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?