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「どこを食べても同じ味がするもの」と「なるべく混ざっていないもの」

どこを食べても同じ味がするものばかり選んでしまう。

千早茜「透明な夜の香り」

大盛りのハンバーグ定食をモリモリ食べる友人と、チキンドリアを崩しながら気だるそうに食べる主人公。
活発な友人に対して無気力な主人公が表現されています。

この一文をきっかけに、なんとなく感じていたモヤモヤについて考えました。

夫とは知り合って20年以上になります。
夫はトマトが苦手で、私はトマトが大好きなこと以外は、
なんでもよく食べてよく飲んで、食の好みが合うと思っていました。

ところが、

夫がハンバーグなら、私はステーキ。
夫が玉子焼きなら、私は目玉焼き。
夫が丼なら、私は定食。

なんでも食べる「なんでも」のなかにも細かい好みがあって、
夫はいろいろ混ざっていたり柔らかいものが好きで、
私は元の食材に近かったりなるべく混ざらないものが好き、
ということがわかりました。

ついでに言えば、私はごはんも冷奴も、それだけで食べられる派です。

どうやら、私は「組み合わせ」が苦手です。
苦手というより、自信がない。
ファッションもそう、インテリアもそう。
いわゆるコーディネートに苦手意識があるのです。

元の形に近いもの、シンプルなものを好むというのは、コーディネートに対するコンプレックスの裏返しなのかもしれません。

さらに考えると、「後戻りできないこと」も苦手です。
思い切りが足りない。

一度混ぜたら戻せない。
調味料をかけたら戻せない。
だったら、そのままが良い。

子供の頃もそうでした。

ゲームでもらえるレアアイテムをいつまでも使えずにとっておいて、使わないままゲームから卒業したり、
(例:ポケモンのマスターボール)
お気に入りのメモ帳やレターセットの最後の1枚を使えないまま、その存在を忘れてしまったり。

結局、最後まで使わないまま。

子供の頃の自分に教えてあげたい。
もったいないからととっておいても、結局使わない方がもったいないよ、と。

それでもやっぱり、シンプルで飾らない、そのままが好き。
そんな自分を認めつつ、組み合わせることや混ぜることへの挑戦を楽しめたら素敵ですね。

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