ネットに匿名で書き込みをする人達をまとめて、
「ネット民」と、少し以上の侮蔑の意味を乗せて呼ぶ事がある。
確かに、その言葉の持つイメージ通りに、
物凄い熱量で、自分の思想や主義主張を
一方的にゴリゴリ展開し続けている人達は一定数いて、
これは本当に毎日必ずやって来る。

しかし勿論そう言った人達は一部であって、
多くの匿名掲示板のユーザーさん達は、
電車でたまたま同じ車輌に乗り合わせた沢山の人達と同じ、
ごくごく一般的な普通の人がほとんどだ。

しかし、ごく普通の一般的なリアルが充実している人達は
SNSを使っていて、匿名で書ける掲示板などは使わないという
イメージがなんとなくあるように思う。

SNSを使っていることはオープンに人に話せても、
匿名掲示板を使っている事は、わざわざ人には言わないし、
むしろ隠している場合が多いのだろう。

SNSには、心の闇を吐き出す専用の病み垢や裏垢も存在するけれど、
わざわざそのためにアカウント開設する程ではないというレベルの
普段リアルでは言わないようにしているモヤモヤや、
心の中から消えない不安や、悩みごとを吐き出す場所として
匿名掲示板を使う人はそれなりに存在する。

言葉にし辛い想いやモヤモヤを、手探りで文章にしているためか、
匿名掲示板に書かれているユーザーさん達の言葉は、
観念的で具体性がない場合も多い。
そんな文章のスレッドであっても、
読者の人達は、不足している情報を想像で補完し、
スレッド主の状況を推測して、ちゃんと返答していたりする。

これだけ便利で多機能なSNSという発信出来る場所が沢山ある今、
匿名掲示板というサービスは全盛期と比較して、
数も規模もだいぶ小さくはなったけれど
なんやかんや、この世から消える事が無い理由もまた、
その辺りにあるのではないかと思う。

どんなにリアルが充実している人であっても、
家族や友人など、近しい人だからこそ言い辛い事が、
多かれ少なかれ心の中にあるもので、

匿名掲示板は、本音や悩みや心の内を
ある意味安心して書ける場所であるからこそ、
掲示板を使っている事自体が秘密になってしまうのかもしれない。

つまり、
匿名でネットに書き込みをする人達の大多数とは、
ごく普通の、でも個々に個性を持った一般の人達なので、
「ネット民」と一括りに捉えてる人には、
こんなことはないよ。と伝えたい。

おしまい。