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新宿ロックイン・ドラムフロア「無告知&無観客トークセッション」

先日、誰にも頼まれて無いけど新宿ロックイン・ドラムフロアでトークしてきました。もちろん誰も聞いてません。でも、やってきました。撮影した動画を簡単に編集してアップするにあたって、これを書こうと思います。

「無告知、無観客トークセッション」
土田"つっち〜"嘉範(ドラムテック)/横山和明(ジャズドラマー)/山村_牧人(おじさん)
<トークの流れ>
・新宿ロックインに初めて来た頃の話
・新宿ロックイン、アサプラ、つっちーさん共同開発の特注ヘッドについて
・お客様から対談と認識された唯一の瞬間
・豊橋シライミュージックの話
・楽器店とワークショップ 〜SFのCity Lights、LAのプロドラムショップ〜
・「場」としての楽器店
・しめくくり

(※勝手に話しているだけなので、以下ご一読いただけるとわかりやすいかと思われます。そもそもわかりやすくトークをできていないのが悪いのですが、どうぞお許しください)

事の発端

新宿ロックイン、ドラムフロアが閉店します。某M下M直君の呼びかけでネット上でも惜しむ声が集まっていましたが、その数たるや大変なものでした。すごい人気なんだなと。

新宿ロックインは交通の便が良く、新宿駅からすっと寄れる。そして店に行くと誰かしらドラマーに遭遇できたりして。

日本中に楽器店、ドラムやパーカッションに特化したお店やフロアはあります。どのお店も、そもそもドラムという一般の方は利用しない、生活必需品とは言えないもの、要するにそれほど大きくないマーケットの中で、それでいて楽器の数は膨大で、音楽のジャンルやドラマーが求める楽器への要望も数限りなく、常に仕入れや在庫や店頭販売や通信販売...大変な仕事をこなされております。時代の流れや経営等いろいろな理由によって、今までもドラマーに愛されてきた店が惜しまれて閉店というのはありました。その都度、残念な気持ちと、良いお店だったなぁという思い出が募るばかりです。

今回の、このなんとも目的の無い行動をしたのは、閉店前にお店の雰囲気を身体に入れておきたい、という衝動が本質だったのかもしれません。

ロックインがイベントの場に

私山村が、シンバルを好き過ぎてレイジングしたり叩いたりするようになった頃、ドラマーの山本拓矢さん、横山和明さんと知り合って、実験的なことをしてみたり、ネット上でやりとりするようになっていったのですが、全員名前に「山」の文字が入っているので「山の会」と呼ぶようになり、ネット上に記事をアップしたりしていたことから、この新宿ロックイン・ドラムフロアでトークイベントをさせてもらいました。

みんな、もちろんいろんな楽器店に行くんですが、ちなみに個人的には、長いこと講師をしている尚美ミュージックカレッジ専門学校の卒業生、黒沢君が店員になったことで縁が多くなったということもあります。ここはある頃から、なんだか独特の雰囲気が出始めておりました。イベントをひょいっと実現させてくれたり、豊橋のシライミュージックの模型を作って展示したり、それはシライオリジナルの商品を扱ったことがキッカケですが、普通は他店の宣伝とかするんだろうかっていうところで、ガンガンラブコールを前面に出すという、なんだか不思議な懐の深さ(緩さ?)が出てきたなと感じていました。それはこのお店のスタッフの皆様の人柄の連鎖と努力だったのだろうと思っています。

撮れてなかった動画

今回のトークイベントは、勝手にお店の片隅で話をしようというものでした。迷惑に決まってることなんですが、事前に相談して承諾を得ることができたので、ゆるくやってみました。最初につっちーさんに声掛けをして、日程が見えてきたところで、横山君も顔を出しますよということになりました。

最初は、ドラムのことを話さないゲームみたいなことにしようとか言っていたんですが、いざお店に着くと、あぁやっぱり閉店するんだなと感慨にふけってしまい、ロックインについて話すことになりました。動画はずっと撮っていたのですが、途中でバッテリーが切れてしまい、話が盛り上がり始めたあたりが全然撮れていませんでしたので、多少ここに補足をする次第です。

横山君と新宿ロックイン〜そして数々のイベントへ

横山君は、中学生の頃から静岡から東京まで出てきて楽器屋めぐりをしていたらしいのですが、その頃から新宿ロックインには来ていたそうです。楽器がたくさん並んで試奏できる環境ということで、ジルジャンのコンスタンティノープルを購入したのだとか。その後プロドラマーとして上京し、特にここ数年はよく通っていて、まるで店員さんのような長時間滞在記録もあるという噂はよく聞きました。

そして、前述した山の会のイベントはもちろん、ロックイン・ドラムフロアは数々のセミナーイベントも行い、会場を借りて人数を集めないと実現できないという制約を緩和し、ニッチでマニアックかつ内容の濃いセミナーなども多く開催していました。

横山君もつっちーさんもセミナーを重ねられ、その後、大阪の小出シンバルの工場と新宿ロックインの二本立てでシンバルカフェというイベントなんかも実施することができました。かなり無理のある企画でしたが、とにかく実現に向けて動いてくれる、そんなお店の動きには感謝しかありません。

その他、動画では楽器店とワークショップ、場というものについてなど、話は進んでいきます。聞き取りにくいとは思いますが、お時間と余力が許せば是非動画をご覧ください。若い時期から海外での仕事も多かったつっちーさんから聞いたS.FのCity LightsやL.AのPro Drumshopの話など。私もあちこちで同じような体験をしましたが、実際そういう場所を大切にしてる人達がいるんですよね。そういう雰囲気に近かったのがこのドラムフロアだったのかなと。

動画内でも登場しますが、現在つっちーさんのトピックとしては、新宿ロックイン、アサプラヘッドさん、つっちーさんのコラボでStudio Catsブランドでオリジナルヘッドを出しています。ロックイン自体は新宿は閉店するものの、他の店舗は引き続き営業されますので、また多くのミュージシャンに利用されていくことでしょう。

この3人は、新宿があったからこその体験を思いにしつつ、せめて最後になんか...というのがこの無観客&無告知トークというところかもしれません。何かができたとかいうことではなく、最後までそんなことが許される場所だった、と。

おわりに

2022/03/13(日)が最後の営業日ということで、みなさん是非お立ち寄りのほど。そして新宿ロックインに限らず、日本中の楽器店、国内外のメーカー...すべて私達ドラマーが素晴らしい製品を手にできる、まさにドラマーのインフラと言っても良いかもしれません。

楽器店は、営利目的のみで売りつけてくる敵でもなければ、かといってドラマーのための慈善事業でもありません。これからもたくさんドラム界に納税(笑)して、応援しつつ、良いことも悪いこともフィードバックして共有し、みんなのコミュニケーションによって、まわりまわって、より良い楽器と良い環境が日本の草の根ドラマーの手に入ることを目指していけたら最高だと思うのです。

(テキスト:山村牧人)



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