『文体の舵をとれ』練習問題② ジョゼ・サラマーゴのつもりで

一段落〜一ページ(三〇〇〜七〇〇文字)で、句読点のない語りを執筆すること(段落などほかの区切りも使用禁止)。

ただ立ち尽くす手をぶらさげてなすすべもなく手はつくしましたと白い人の言うその横であなたはいまにも起き出しそうにばら色の頬をしてねむるその下の胸がもういちど上下しないかといかほど目を凝らしてもちろとも動くこともなくなだらかに白い丘のうえ香を焚きしめ蝋燭は灯り茶碗に飯が盛られ箸が立つその下にあなたのからだはかりそめに隠され浄められてのち白装束をまとうそんなあなたが雄蕊をぬかれた百合に囲まれるのはなぜ一刻前まで息づくあなたがいまはものいわぬむくろと扱われるのはなぜリビングのうたたねとかわらぬねむり顔に黒装束を着ねばならぬのはなぜ身を捩り哭くいとまもなくおくりをするのはなぜつい一刻まえからつらなる時間に句点を打たねばならぬのはなぜどうしてとひきのばすなけなしの抵抗をするわたしはこの流れをどうあっても止めない息を止めない手を止めない時を止めないまだ死なせないわたしが句点を打つそのときまではあなたが生きている世界の続きにとどまることをわたしはやめない

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句点や読点のありがたみを知る課題のようなので、課題意図とちょっと違うかもしれません。

まあいっか。