見出し画像

頭髪をめぐる冒険 1


凝り性の成れの果てなのですが、私、こんなことになってますシリーズ……(シリーズ!?) 。今回は、頭髪問題。


なぜ頭髪かって、最近、発見したことがある。
中学校の体育館で行われた、保護者会に行ったときのことだ。
小学校の保護者会と違って、若いお母さんは当然少ない。みんな、お母さん歴十年選手なのである。35歳以上がほとんど。40歳以上が大多数。50もいる。
明らかにそこは何かが小学校とは違う、と思った。もちろん、それは「若さ」なのだが、ガクッとこう何かが決定的に違った。ふてぶてしさ? なんだろう、服? いや、……髪だ、と思ったのだ。
私は体育館の後ろほうの座席にいたのだが、前方はお母様方の後頭部の群。あまりにも彼女たちの髪のバサバサ感、パサパサ感に愕然。こ、これが老化か、と思った。なんだか髪がお疲れになっておられると、圧倒的に清潔感に影響する……。そう見回して、絶句したのだった(自分はさておき、ですよ)。

たまの保護者会なので、皆さん、こぎれいにしている。お化粧もしっかり。イキイキとお喋りしたり、笑ったりしているのだが、問題はそこじゃない……。
我々は必死にシミやシワにばかり注目していたけれども、なんというか、盲点でした。髪というのはオーラみたいなものと言ったらいいのだろうか、顔まわりをむんわりと包むその、雰囲気。かさついていたり、パサついていると、やっぱり全体的に老ける! のであった。もう、シワとかディティールにこだわっている場合じゃない。全体を見よう。髪が与える印象は、意外に大きかったのだ。
特に前髪や顔周りの一部の頭髪は、皆さんチェックしているのだろうが、圧倒的に量がある後頭部や耳より後ろの横髪、そこが一斉にパサついているのに気がついていない。
だって鏡でチェックしにくいからね。ああ、合わせ鏡で後頭部見なきゃなぁと思った。美容院では見せてくれるけれども、プロによってすごくセットされまくった髪だものね。問題は、普段よ、普段。

そんな中で何人か、髪をきちんとしているお母さんもいた。私より圧倒的に年上の方もいたのだが、髪がきれいだと清潔に見える。なんと言っても生活感が消える。
疲れていない感じ。女を捨てていない感じ。
たかが髪、されど髪なのだ。


髪について語りはじめるとき、そもそも昔は、いわゆるTVで宣伝している普通のシャンプーとリンスを使っていた。
でもそれとは別に、家を自分で作ろうとしている旦那さんもそうなのだが、「それ、自分でできるんと違うか?」という、奇妙な「征服欲」が私たち夫婦にはある。
なので自分で石鹸を作りに挑戦しはじめて、かれこれ10年。慣れると簡単、小一時間もあれば、半年分ぐらいのマルセイユ石鹸を作ることができるのだ(その後、1ヶ月間乾かして熟成させる)。

これが思いのほか楽しい。
私は牛乳石鹸(本当にミルクを入れる)をよく作るのだが、好きなアロマオイルを垂らしたり、お肌によろしいオイルを配合したり、アズキの粉や抹茶、クレイなどいろいろ足してみたり、それで綺麗なマーブル模様を作ったりする。牛乳臭さはまったくなく、むしろクリーミーな仕上がり。乾燥させている間、家の中にはアロマの香りがそこはかとなく漂っていて、いい感じ。

薬品で熱処理され、短期間ですばやく作られる通常の石鹸との違いはこうだ。
オリーブオイルに含まれている「オレイン酸」が肌にいいのは言わずもがな、ゆっくり熟成させながら作られた石鹸は「天然のグリセリン」が豊富に残り、それが油性の汚れも水性の汚れも洗浄してくれる。さらに「グリセリン」そのものは、保湿剤としてドラックストアで売られているほどなので、肌にしっとり感を与えてくれるのだ。
それにココナッツオイルを加えて泡立ちをよくしたり、パームオイルを加えて溶け崩れにくくしたのがマルセイユ石鹸だ。
その人の肌によってしっとり感やさっぱり感など求めるものは違うだろうから、別の自分にあったオイルを足してみたり、秋冬はもっとクリーミーにしたり、保湿効果の高い蜂蜜を足したりと、アレンジできるのも嬉しいところ。

石鹸は消えものなので、ちょっとしたプレゼントにもちょっといい。邪魔になりにくい。だってマルセイユ石鹸って1個800円ぐらいで売ってるじゃないの。
試しに可愛くラッピングして、災害復興チャリティーバザーで売ってみたら、あっという間に完売。人気はあるところではあるようだ。


で、その石鹸で「頭」も「体」も「食器」もなんでも、ガシガシ洗っていた。
まず、うちのお風呂場が男らしくなった。何と言っても、湯気の奥にポツンと石鹸一つ……。

実際のところ洗浄力は、シャンプーや食器用洗剤よりも強くはないので、油ギトギトの食器などは2回ほど洗うこともたまにある。頭髪も、脂性の人は2度洗いがおすすめ。
でもそれだけ根こそぎ油分を持っていかないから、食器洗いでの手荒れや乾燥はほぼない。食器用洗剤時代は、毎年両手が主婦湿疹(慢性刺激性接触皮膚炎)になっていたのだけれど、そんなトラブルもなし。ハンドクリームも必要なし。

頭髪は石鹸に慣れるまで少しキシキシいう人もいるみたいだけれども(長い人は数週間)、私はまったく最初から問題なかった。サラサラに仕上げるために、レモン汁(ポッカレモン)を洗面器に垂らしてすすぐと、驚く指通りになる。石鹸で偏ったアルカリ性を酸で中和するのだ。ちまたで使われているクエン酸よりも、レモン汁のほうが綺麗に仕上がった。
うちの子は幼児期からずっと石鹸一つなので、お泊りに来る少年たちは面食らって髪を洗っていたが「泡がすごくて、よかった!」と、お褒めの言葉もいただけた。

そう。初めて髪を洗ったとき、本当にびっくりしたのだ。とにかく洗い上がりが「めちゃくちゃ軽い」のと、同時に「しっとり感」もしっかりあってすごくいい!
それにしてもこの軽さ! どれほどいろいろな成分がシャンプーに乗っかっていたのだろうかということを実感した(個人の感想です)。
もう、シリコンだのノンシリコンだの、オーガニックだのミネラル配合だの、成分を見て悩まなくてもいい。石鹸でいいっす、私。


しかし、白髪が目立ち始めた40代。私はさらに、石鹸洗髪から手を離れ、さらなる魔境へ手を伸ばすのでありました。


(意外なほど髪で語れそうなので……つづく!)




ここまで読んでくれただけで、うれしいです! ありがとうございました❤️