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旅に出る:韓国の場合⑥

気づいたら雨がポツポツと降ってきた。
私が連れてきた台風のせいだろう。

皆はかわるがわる私をやたらと気遣ってくれる。なんなら皆半泣きだ。

「怖かったよね!マコ!殴られるかと思ったよー!」




そうなの?

私そんなやばかった?

自覚がない。

それより雨降ってるのに責められないのが最高!と内心思っていた。




さてどうしよう。
とりあえずこの場所にいつづけるのは怖い。
いかにも治安良くはなさそうだし、人気もない。いたとしてもおそらく酔っ払いしかいなさそう。

「とりあえずきた道戻ろうか」


私たちは何となく、きたんだろうなーという方向に向かって歩き出した。



私は前に座っていたので、なんとなく道は見覚えがあった。
どうにかこうにか歩いていくと、片側3車線くらいのすこし大きめの道にでた。

一気に真っ当感がある店が見える。
心底ホッとした。
ただ全部閉まってるけど。


雨がそぼ降る道をおもーい足取りで歩いているとよってくるものがある。

そう、タクシーだ。


何台ものタクシーが近寄ってくるが、すっかりタクシー恐怖症の我らは頑なに乗車を拒み続けた。


どこまで行っても何も助けになるものは見つからない。

そのうち、コンビニが見えた。

が、閉まっている。


地下鉄の駅が見えた。

が、既に終電が終わっている。



いよいよヤバくないか、という空気でいっぱいになった頃、
広い道路を挟んだ向かい側にある文字が見えた。





POLICE



「POLICEってポリスよね?」


「そりゃそうやろ!」



私たちは地獄に仏とはこのことと言わんばかりに走り出した。

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