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【声劇】それでも、好きでした。【朗読】


☆所要時間:約2分
☆人数:1人用

女性視点で書いてありますが、どなたでもどうぞ。

また、男性視点に読み換える際には「いい女」「都合のいい女」という箇所の変更を事前に考えていただくと良いかと思います。

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背伸びをしていたことも
いい女のフリをしていたことも
きっと
あの人には見透(みす)かされていたのだろう

1人で車をとばし
あの人の元へと向かう時間は
隣に居られる時間よりも長かった

ほんの少しの仕事の合間

それでも
傍(そば)に居たかった

あの人が忙しいことは知っていた

会えないことは承知していた

声が聞ける時間も ほとんどなかった


それでも
あの人の名前を人伝(ひとづて)に聞けるだけで
ワタシは嬉しくて

欠片(かけら)でも
断片(だんぺん)でも
あの人に触れられた気がして嬉しくて

ワタシはそれらを掻(か)き集めて
大事に 大事に
抱きしめていた


ずっとずっと
呼んでもらえることを待っていた

ずっとずっと
いつか夢見たその時を待っていた


きっと あんなに
人を真剣に応援したのは初めてのこと

きっと あんなに
人に尽くしたのは初めてのこと


それは 傍(はた)から見れば
「都合のいい女」と
見えていたかもしれない


それでも

それでも

あの人が笑顔で
ワタシの名前を呼んでくれるなら

あの人がワタシを求めてくれるなら

それだけで、良かったのに…

End

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〜マコのひとりごと〜

「いい女」になろうとしたことがあった。
どうしても、その人に好きになってもらいたくて。
付き合うことができたけれど、その人に求めてもらえたのは「ワタシ」ではなかったのだと、後に気付いた。

それでも、好きでした。

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