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「発見の手帳」と知的生産

皆さんにとって「手帳」はどんな存在でしょうか?

ここ数年はスマホの普及もあって、すぐにメモを取ることも容易になりました。そもそも「手帳」とは、手の中の帳面、つまり思いついたことや忘れてはいけないことをすぐに記録するためのものです。

今回はこの、「思いついたことをすぐに記録していく」ことが、「知的生産」にどうつながるかについて考えてみたいと思います。

「発見の手帳」とは?

この「発見の手帳」という表現は、以下にご紹介する本から取らせていただいたものです。

わたしたちが「手帳」にかいたのは、「発見」である。まいにちの経験のなかで、なにかの意味で、これはおもしろいとおもった現象を記述するのである。あるいは、自分の着想を記録するのである。……いったいどういうつもりでこんなことをかきつけておいたのか、判断にくるしむようなものがおおい。しかし、それはそれで、そのときには、あらたなる事実の「発見」として、なにほどかの感動をともなっていたことにちがいないのである。わたしは、この手帳に、自分で、「発見の手帳」という名をつけていた。

梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)25-26頁より引用

この本の中で特に気に入っているのが、このくだりの部分。
この「発見の手帳」という名前が、手帳に対する私の思い入れを反映しているように思えるからです。

・自分にとって新しいこと
・経験したことから得た気づき

そうしたものはすべて「発見」であって、その時その時で、「あっ」って思った、その瞬間の気持ちや考えは、「後で書こう」と思っていたら、かなりの確率で忘れてしまいます。それは、とても大切なものをなくしてしまったような、とても残念な気持ちです。

「そんな後悔はしたくない」

その思いが、私を手帳に向かわせているーそんな感じがしています。

メモを取る媒体は、文字通りの紙の手帳のこともありますし、スマホにパパッとメモすることもあります。最近はスマホのことも多いですね。でも、スマホにメモしたことをあらためて紙の手帳に手書きし直すこともよくあります。

いずれにしても、その「発見」の瞬間を逃さないようにしたいと思っています。

現在愛用しているのは、「ほぼ日手帳 weeks MEGA」。
細長い形で携帯しやすい上に、メモページがたっぷりあるのが気に入っています。
この手帳については以下の記事に詳しく書きました。
よろしかったらご一読くだされば嬉しいです。

知的生産とは?

知的生産についても、やはり上でご紹介した本にあるこの定義が気に入っています。

知的生産というのは、頭を働かせて、なにかあたらしいことがらー情報ーを、ひとにわかるかたちで提出することなのだ、くらいにかんがえておけばよいだろう。

梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)9頁より引用

私たちは何かしらいろいろメモを取りたいってなります。でもそれはただメモを取り続けて記録を積み重ねること自体が目的ではないはずです。むしろ、その積み重ねてきた「発見の記録」をもとに、何か新しいものを作り出したいーそう願うのではごく自然のことです。

そのためには後で見返すことが大切になってきます。読み返すとき、過去のページからは、書いたその時の空気感まで立ち昇ってくるかのようです。そして見返している現在の自分の感覚と化学反応を起こして、また新しいアイデアが湧いてくる…そしてその新しい発見を今度は誰かに伝えたくなる…それが知的生産のサイクルであり、また楽しさだと思うのです。

「発見の手帳」は知的生産にどう役立つ?

「書き続けるためにはインプットが大切」

これは、noteを毎日更新したり、定期的に更新されているクリエーターの皆さんなら、きっと実感しておられる点だと思います。

発見の手帳」は毎日のインプットの記録でもあります。一つ一つの発見は小さいかもしれません。それでもそれらが化学反応を起こす時、すばらしいアイデアが浮かぶことも多いのです。

「いい記事をたくさん書きたい」

そう願ってはいても、自分の中から出せるアイデアの絶対量には限界があります。だからこそ、周囲の世界から「発見」を探し出して、自分の中に蓄えるーこうした日々の習慣が大切になってくると思うのです。

そうして蓄えられた膨大な情報は、一度その人の中に取り込まれて熟成された上でアウトプットされます。そのようにして出されたものは、もはや単なる情報ではなく、書いた人にとっての「発見」から「生産」された知的情報。その情報は他の人にとってとても貴重であり、新鮮なのです。。

だからこそ、このnoteに楽しみが生まれているのではないでしょうか。

まとめ

思いついたことは忘れないうちにすぐにメモする。これが「発見の手帳」。
・新しい「発見」から何か考えたことを、人にわかりやすく伝える、それが「知的生産」。
・「発見の手帳」と「知的生産」はセット。蓄えた「発見」が「知的生産の材料」になる。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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