実施基準 四 3 内部監査の結果の利用

監査人は、企業の内部監査の目的及び手続が監査人の目的に適合するかどうか、内部監査の方法及び結果が信頼できるかどうかを評価した上で、内部監査の結果を利用できると判断した場合には、/財務諸表の項目に与える影響等を勘案して、その利用の程度を決定しなければならない。

実施基準四3

(3)経営者及び監査役等の責任
経営者には、…財務諸表に重要な虚偽の表示がないように内部統制を整備及び運用する責任があること

(4)監査人の責任
…財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないこと

報告基準三

監査人は、内部監査の結果を利用するか否かにかかわらず、内部監査の実施状況を理解しなければならない。

◆内部監査機能
企業のガバナンス・プロセス、リスク管理及び内部統制の有効性を評価・改善するために、保証・助言活動を行う企業内部の機能をいう。(2022)

◆内部統制

企業の財務報告の信頼性を確保し、事業経営の有効性と効率性を高め、事業経営に係る法令の遵守を促すという企業目的を達成するために、取締役会、経営者及びその他の企業構成員により、整備及び運用されているプロセスをいう。

 企業に対して、確立され又は提供される評価活動をいう。内部統制の妥当性及び有効性を検討、評価及び監視することが含まれる。
 内部監査は内部統制の構成要素のうち、監視活動における主要な機能の一つとされ、内部統制の有効性及び効率性を定期的に評価することにその役割がある。
 内部監査は主として独立的評価による監視活動として機能し、/内部統制が有効かつ効率的であるかどうかについて継続的に監視するために、内部統制の整備状況を評価し運用状況を検証して、内部統制の改善に関して助言・勧告すること等を業務とする。

◆内部監査人
内部監査機能の活動に従事する者をいう。内部監査人は内部監査部門又はそれと同様の機能を有する部門に属することがある。

◆効果的かつ効率的な監査との関係
 十分かつ適切に内部統制が運用されている企業については、利用し得る範囲において内部監査との連携等も考慮して、一層の効果的かつ効率的な監査が行われることが期待される。
 監査人は、適用すべき監査手続、その実施時期及び試査の範囲の決定において、内部統制組織の一部としての内部監査を評価して監査を進めることにより、監査の効率化を図ることができる。

◆内部監査と財務諸表監査の同時提供の禁止
監査人が内部監査業務と財務諸表の監査業務を同時提供する場合、/自己監査となり、/また会社の経営判断に関与することになれば公正不偏の態度及びその保持に対する社会的信頼性が損なわれる虞がある。/そのため、金融商品取引法適用会社に対して、これらの業務を同時提供することは法令上禁止されている。

監査人は、監査を行うに当たって、常に公正不偏の態度を保持し、独立の立場を損なう利害や独立の立場に疑いを招く外観を有してはならない。

■会計士監査の一層の充実のために会計士に求められる諸施策
会計士監査は、監査役監査・内部監査との相互補完の下、内部統制の評価等を通じて虚偽記載防止の実効性をあげるとともに、多様化するニーズに積極的に対応する必要がある。

■論点整理
二 3(3)
監査の実効性を高めるためには、内部統制の確立内部監査の充実等が必要とされ、かつ、これらが結果的に監査の効率化にも繋がることを、監査人においてもより強く認識する必要があるとの指摘もある。

■監査基準の改訂2002
十分かつ適切に内部統制が運用されている企業については、利用し得る範囲において内部監査との連携等も考慮して、一層の効果的かつ効率的な監査が行われることが期待される。

◆内部統制の目的
内部統制の目的は、適正な財務諸表を作成し、法規の遵守を図り、会社の資産を保全し、会社の事業活動を効率的に遂行することにある。

◆内部統制の構成要素
内部統制組織とそれに影響を与える内部経営環境から構成される。
監査上対象とされる内部統制とは、適正な財務諸表の作成に関連する部分である。

◆内部統制組織の一部としての内部監査
内部統制組織は、適正な財務諸表を作成するために、内部牽制の考え方を基盤として、組織統制手続とが相互に結びつき一体となって機能する仕組みであり、通常、内部監査もこれに含まれる。

監査法人が、大会社等の財務書類の調製に関する業務、あるいは内部監査の外部委託に関する業務と監査証明業務とを同時に提供した場合には、監査人としての独立性を害することになる。


内部統制は、経営者が経営管理全般を対象として構築するものであり、内部統制組織とそれに影響を与える内部経営環境から構成される。
内部統制組織は、適正な財務諸表を作成するために、内部牽制の考え方を基盤として、組織と統制手続とが相互に結び付き一体となって機能する仕組みであり、通常、内部監査もこれに含まれる。
監査人は、適用すべき監査手続、その実施時期及び試査の範囲の決定において、内部統制組織の一部としての内部監査を評価して監査を進めることにより、監査の効率化を図ることができる。(2000短答)


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