ウソとゴマカシだらけの共同親権反対論

 ~あなたも「加害者」の仲間に入りますか?~

はじめに

 いま、法制審議会やマスコミなどで日本でも「離婚後の共同親権」(以下、単に「共同親権」と呼びます)を導入すべきかという議論がなされています。
 わが国の民法は未成年の子のある夫婦の離婚に際しては父母の一方を親権者として定めなければならないと定めています(819条)。しかし、欧米をはじめ、世界のほとんどの国では離婚後単独親権制度を経て、共同親権制度への転換が行われてきました。世界中の諸国でこうした流れができてきたのは、決して歴史上の偶然ではありません。各国の法制度や文化・歴史等を超えて「基本的人権の尊重」という人類普遍の理想に近づくために必要な転換だったのです。
 実は、日本でも75年も前からこの理想は掲げられていました。日本国憲法です。憲法24条2項にはこのように書かれています。
「 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」
離婚というのは、つまり夫婦関係の終了です。しかし、夫婦関係が終了しても親子関係は終了しません。どうして、親子関係は終了しないのに『絶対的に』一方の親から親権を喪失させないとならないのでしょうか。おかしいと思いませんか。
 さらに、近年では子どもの立場に立って人権を考える必要に目が向けられています。その国際的な集大成が【子どもの権利条約】です。子どもの権利条約第9条1項は以下のように定めています。
「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。」
そして、わが国の離婚後絶対的単独親権制度はこの条文に反する疑いが強いということで是正勧告までなされています。このF.27.(b)には
「離婚後の親子関係を規制する法律を改正する
子どもの最善の利益にかなう場合に子どもの共同親権を認めること。」
とはっきり書かれています。
 このように、離婚後の父母という親目線だけではなく、離婚後の子どもという子ども目線に立った場合でも共同親権は必要とされています。
 ところが、日本には共同親権に反対する弁護士や法学者などが少なからずいるのが現状です。そうした人たちは『ウソ』や『ゴマカシ』を巧みに使って法律に詳しくない人を『共同親権反対』に誤導しようとしています。
 前置きが長くなりましたが、ちょうどウソやゴマカシに満ち溢れたパンフレットが公開されていましたので(下記リンク)、それを例にどのようなウソ・ゴマカシがあるかを見ていきましょう。
https://note.com/kyodo_shinpai/n/n908e2a7576fa

「はじめに」のウソ・ゴマカシ

 「はじめに」の二段目に
「しかし、私たちは共同親権を導入するという議論に与することはできません。
なぜなら、共同親権を導入しなくても、離れて暮らす親子のつながりを維持することは、今の法律でも十分できるし、また家庭裁判所は、それを強く後押ししています。」(強調は引用者。以下同)
と書かれています。
 まず、これが全くのウソであることを説明します。
・「今の法律でも十分できる」か?
 答えは、法律では「非親権者・別居親には何ら十分な保障はありません」というのが真実です。
 詳しくは、後述する「『面会交流』のウソ・ゴマカシ」の章で述べますが、面会交流ができるかできないか、できるとしてどの程度のものが認められるかはほとんど親権者の気持ちしだいで決まってしまいます。共同親権に反対する学者・弁護士の中には『面会交流が同居親(親権者)の意に反するような場合には別居親(非親権者)は面会交流を控えるべきだろう』という趣旨のことを述べる人もいますが、同居親の気持ちを子どもの利益に優先させており、また別居親の利益を軽視しすぎているという二点で、とうてい受け入れがたい意見だと言わねばなりません。
・家庭裁判所は親子のつながりを維持することを強く後押ししているか?
 これも、残念ながら答えは「否」です。もしも、本当に家庭裁判所(以下、「家裁」といいます)が本当に「親子のつながりを維持することを強く後押しして」くれているのだったら、今のように共同親権に関する議論が大きな社会問題にはならなかったと思います。
 家裁が面会交流を認めるのは4割程度にすぎません。そして、その多くが月1回数時間程度のものです(参考資料)。子どもが中学生以上だったらそれでも親子のつながりは維持できるかもしれませんが、小学生以下、ましてや幼児だったらこれで親子のつながりが維持できるのでしょうか。とんでもないウソだと言わねばなりません。
 この点も、後述する「『面会交流』のウソ・ゴマカシ」の章で詳しく検討します。

 続いて、共同親権を得る親が「DV加害者だったらどうなるでしょうか」と問題提起をしています。これは次章でまとめて検討します。

 ※だいぶ長くなりましたので、続きは別記事にします。

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