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下界は未来に絶望する場所じゃないと思いたい。【既往歴クソ喰らえ!】


下界は未来に絶望する場所じゃないと思いたい。


ここで指す下界とは、社会のこと。
世間のこと。
今過ごしている日常、そのもののこと。

病院の中ではない、
癌患者のまことではない、
癌サバイバーのまことではない、
みんなと同じ社会を生きる
一人の人間の佐々木真琴であるということ。



病院を一歩出ると、自ら名乗らない限り、
ただの人でしかない。

そうなった時、思い知らされる。


自分が、健康ではないこと。
重く大きい既往歴を背負い続ける人生だということ。


それらは不意に訪れる。

海外旅行保険に入ろうとした時、
保険屋さんから最初に提示されたプランにはもちろん入れなかったこと。
私の既往歴だと何百とあるプランのうち1つしかそもそも入れるものはないということ。
しかもその一つは健常者の倍以上の保険料にもかかわらず、決していい条件とは言えないこと。


他にも、たくさんある。
体の不調に関することは、よりシビアになる。


私は、たまに心臓の周りが痛くなる時がある。
その度に「あ、再発したかな…」という不安と都度闘わなくてはいけない。
※私の癌は縦隔腫瘍と言って心臓の上に覆い被さるような位置に腫瘍があったため、今も瘡蓋のようなものがあるからそれが周りの組織を引っ張ったりしてたまに痛いって感じる時もあるかもと言われている。


心臓が痛いとかちょっと重大そうなことでなくてもこの不安という厄介者は私を襲う。

身近な人から少し体調が悪いと聞いたとき、
コロナの感染者が増えたと聞いた時、
「移ってたらどうしよう…」といちいち真剣に考える。

私は約半年間、国からも指定されている最強抗がん剤を使用した治療をしたため、治療後一年くらいは健常な皆さんよりも免疫が弱くなっている。
よく言って「7割」というところだろうか?
具体例を挙げるならば、
直近の数字は忘れたが私のカメラロールに残っている6月の経過観察での白血球数は2,100だ。
驚く勿れ、正常値は3,100である。
(それでも普通に生活できるのだから身体というものは思ったより強いのかもしれない?慢心は良くない笑)
さらに、抗がん剤治療というものは、がん細胞をやっつけてくれると同時に、善き細胞たちも「えいや!」とやっつけてしまうのである。
上記の白血球を見ても明らか!
コロナウイルスに対するワクチンを打ち、副反応に耐え、得た抗体も、綺麗さっぱり無くなってしまった。
それに、今、仮に追加のワクチンを打ったとしても、困ったことに自らの力で抗体を作ることはできないらしい。
そんなわけで、エバシェルドという、選ばれし者だけが打つことができる注射を打った。
これは自ら抗体を作ることができない人たちのためにある、ワクチンのようでワクチンではない注射で、もう出来上がった抗体を体に直接入れることができる最強薬らしい(薬という表現は正しくなさそうだが、医療従事者ではないので、なんとなく私の感覚で説明している、ご了承を!)。

説明が長くなった。本題に戻る。

この注射をしても、根本の自己免疫が十分でないので、やはり健常者に比べると感染のリスクは非常に高い。
私の主治医によると
「同じ治療をした人でコロナになってICU入ってる人いるから、本当に気をつけて」
とのことだった。
なかなかハードな宣告である。

私の性格的にあまり気を張りすぎず、まぁなんとかなるだろうという気持ちで過ごしてはいるが、なったらやばいなという気持ちも常にあるので、咳をしている人が近くにいると流石にビビってしまう。
ビクビクとまでは言わないが、人を疑う生活は良いものではない。
私の今の生活の中での気持ちはこうだ。
窮屈で懐疑的な毎日。
それらは折に触れて私を健常者ではないことを思い知らせる。なんとも厄介な野郎だ。


そして、これからも、一生、
このあまりに重すぎる既往歴を背負って生きていくことが確定している。



「あーやだなー。健常者羨ましいー。」
と思うことは、
これからも何千何万とあるだろうけど、
それは「なんで自分だけ…」とか「健常者ずるい」とか
自分と健常者を天秤にかけた感情ではないことだけは確かだ。

みんなが健康でいてくれることはこの上なく嬉しいことであることは間違い無くて、健常者に既往歴ある人の気持ちなんかわかるわけねぇなんていう気持ちも1ミリもない。(私は!だから。患者さん一人ひとり思うことは違うから、まことがこう思ってるからと言って他の方に押し付けたりは絶対にしないで)

シンプルに
「自分の人生ハードモードだなー!本来かからなかったお金かかるなー!いろいろ考えないといけないことあるなー!」
という自分で自分に対して思う気持ちだけである。


根っからの負けず嫌いなので、

「既往歴クソ喰らえ」


というメンタルで

「特別でいいじゃんね!」
「逆にアドバンテージ!」
と思って面白おかしく生きていきたい。


時たま不安になる自分を、
母譲りの異常なまでの前向きな自分が、
寝て目が覚めたらそんな気持ち1ミリもなかったかのように吹っ飛ばしてくれることに感謝したい。

最高に楽観的な自分、いつもありがとう!


既往歴クソ喰らえっていいね!笑
気に入った!
人生のテーマの一つにしようかな。


じゃ、今日はこれくらい。
またね。

まこと

先まわりしてここでもお礼述べておきます。ありがとう。Grazie mille!!