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介護報酬改定:質の向上のために、ケアマネジャーが努力義務を全て行うことについて、一度考えてみてほしいの

★3行でまとめると

・令和6年度の介護報酬改定により、ケアマネジャーへの様々な新しい役割が求められる

・努力義務、推奨を全て行うと業務負担が増加し、バーンアウトのリスクが高まる可能性がある

・ケアマネジャーは制度の変化を正しく理解し、質の高いケアマネジメントを実現するためにバランスを取る必要がある

令和6年度に介護報酬の改定が行われることで、ケアマネジャーには様々な役割が求められます。義務と推奨を混同することはバーンアウトにつながる可能性がありますので、何が変わるのかをしっかりと把握することが必要です。

例えば、公正中立性の確保のための取り組みの見直しでは…

【ア】前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着
型通所介護及び福祉用具貸与の各サービスの割合

【イ】前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着
型通所介護及び福祉用具貸与の各サービスにおける、同一事業者によって提供されたものの割合


…利用者に説明し、理解を得る。これらは現在(令和5年12月現在)義務化されており、行われていない場合は運営基準減算の対象となり、指導されることとなります。

来年度からは努力義務となるため、推奨されることになります。
この推奨をどう実施するかの判断は簡単なようで難しい、人によって価値観が異なるためです。

ケアマネジャーは質が問われることが多く、質の向上を目指して努力義務を完璧にこなすケアマネジャーや居宅介護支援事業所も存在します。
これ自体は悪いことではありませんが、業務負担が増えることで本来のケアマネジメントが行えなくなることや、定時での退社が難しくなる、残業や休日出勤が増えることもよく聞かれます。
また、サービス残業をしている人も多く、そのような状況の事業所での勤務を続けるべきかという相談を受けることもあります。


アセスメントとセットになっている課題整理総括表も、努力義務(つまり推奨)ですが、担当利用者全員に活用しているケアマネジャーもいます。
全ての利用者に活用する理由は様々で、正しいケアマネジメントと考えるから、または事業所内で決められたルールに従っているため、あるいは課題整理総括表が義務化されていると誤解しているためです。

質の向上としては課題整理総括表を活用することは正しいですが、担当件数が35ケースあり、来年度からは最大44ケースまで持つこととなると、定時までにすべてをこなすことは難しいかもしれません。
件数をどの程度まで持つかは、ほとんどが法人の方針に左右されます。

課題整理総括表は個人の価値観に影響されることがあります。ケアマネジャーの質の向上のため、課題整理総括表を使用することを半ば強制的に推進する場合があると聞きます。
しかし、冒頭の事業者割合の必要性については、多くのケアマネジャーが必要性を感じていないと思いますが、必要だと主張する人もいます。

努力義務、推奨は人それぞれなのです。
大切なのは、このような主張に振り回されず、各自が思考して判断することです。

全ての努力義務を完璧にこなしながら1人44ケースを担当することは容易ではありません。
ICTなどの業務効率化を行いつつ、どの程度まで努力義務を果たすかを常に考える必要があります。
そのためには、何が義務で何が努力義務、推奨なのかを制度上正しく理解しておくことが前提です。バーンアウトを防ぐためにも、この点は重要です☺️

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