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手を渡すこと

将棋で、「手を渡す」という表現があります。
こちらに積極的なアイデアがないときや、相手の出方をうかがうときに、差しさわりのない手を指して相手の反応を待つことをいいます(そのため「手待ち」と言うことも)。

私はこの表現と発想がとても好きです。

自分からのアプローチがすべてではなくて、相手との相互作用を前提に先を進めていく――将棋は「戦い」ではありますが、この発想はコミュニケーション全般で大事にしたいことだなと思います。

先の構想もなく、相手の反応も気にせずに先を急いでグイグイいってしまうと、あまりいい結果には結びつかないはずです。
相手と大局をよく見るために、あえて積極的に動かない。
じっと、手を渡す。

将棋では相手のミスを待つという側面もあります。勝負なので。しかし、ミスらしいものが出なければ相手のアイデアを見て、それを受けて自分のアイデアに工夫を加えて対応する、といった形になります。

日常のコミュニケーションではさまざまな障害でとかくやりづらくなりがちなことが、言葉なしで実現し得るんですよね。

これ、なかなか素敵じゃないですか?
行きづまったら「手を渡す」ことを考えるようにしたいです。


興味をもっていただきありがとうございます。