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色々あっても結局私が山下達郎に戻ってしまった理由

山下達郎が好きだ。

私は43歳。母が1954年生まれなので、1952年世代の達郎(ここからは達郎で行く)は親世代と言えるだろう。

音楽を聴き始めた中学生の頃、親と同世代の歌手やグループを聴くのはなんだか気恥ずかしいような、周りの流行とは異なるものに触れることに敬遠している部分があった。

親とか、過去の流行とか、そういうものから離れるためにこっちは音楽とか聴いているんだ

そんな思春期ならではの抵抗があるなかで自分の価値観が変わったのだから、何かエポックメイキングな何かがあったはずなのだが、強烈なエピソードはこれといって覚えていない。

ただ、なんとなく達郎を聴き始めた。
そうしたら心地よかった。
そんなシンプルな話だったと思う。

ベスト盤がバカみたいに売れていて、売れているから中古でちょっと値段がおちていて、金の無い中学生にはちょうどいい買い物になって。

考えてみると今好きな何かに対して大きな転機とか出来事なんてそうは存在しない。だから、それ自体は割と自然な成り行きではないだろうか。

で。
日曜日にはTokyo FMで「サンデーソングブック」を聴くようになった。

FMを聴き始めたのは赤坂泰彦の「ミリオンナイツ」からだったが、部活と塾に通う私にとっては勉強しながら聞き流すことが出来るのは夜10時とか日曜日の午後辺りしか無く、そこに偶然達郎の番組があった。

オールディーズを掛ける達郎。
変な曲も掛ける達郎。
口の悪い達郎。
たまに登場するまりや。

熱烈なファンというほどでもないし、ライブには未だに行ったことは無い。でも新曲が出ればチェックするし、アルバムが出れば買う。

そんな温度感で、よく聴く時もあれば、メタルやブルース、ジャズにヒップホップみたいな音楽のほうに流れて離れることもある。

でも、ふとスイッチが入ると昔の曲をiPODで聴いたり、サンソン(サンデーソングブック)に戻ってきたり。

私特有の音楽の聴き方なのかもしれないが、そうやって達郎との距離が縮んだり離れたりという、妙なヒットアンドアウェイが続いて気が付けば30年が経過した。

コロナの影響で今は距離が近い周期に入ってきている。Radikoでラジオを聴きながら仕事をするという習慣が、2023年にはちょうどいい。

残念ながら達郎は偏屈(誉め言葉です)なので、Amazon Musicで彼の曲を聴くことができないことだけが目下の不満だったが、第9期くらいの達郎ブームがぬるく続いていた。

しかし、事件が起きる。
ジャニーズをめぐる例の報道だ。

経緯は省略するが、達郎は事件に対する自らの考えを表明することを余儀なくされた。個人的には無言を貫くこともまた一つの選択肢としてあったとも思う。

しかし達郎は自分の言葉で事件や、それに波及して発生した周辺の事態についてサンソンで説明を行った。

正直なところ、
共感できない点が多々あった。

何がどう共感できないか?という点については論点ではない。一つ一つについて説明をしているとそちらに対して意見を仰られる方が出てくるだろうし、別にその是非を議論したいわけではない。

ただ、具体的には述べないが、それを言うかねと思う部分は随所に見られた。

なんというか、達郎のことを面倒だと感じるようになった。それは、奇しくもジャニーズのタレントがテレビに出てきたときと同じ感想だった。

ただ。
達郎は別に不意に聴くものでもなければ観るものもない。

だから、単に離れればいい。
それだけのことだ。

まぁそういうことは他のタレントでもスポーツでもよくあることだ。観るのがしんどい、そして今回はその理由が深刻ということが異なるという話である。

だから、戻るも戻らないも私次第。

そしてそこで離れてしまう人が多ければ、そのタレント、歌手、チームは終わっていく。だからこそ、誠実に対処しなければならない。

ただ。
世の中には対応を間違えようとも、不祥事を犯そうとも、不思議と戻ってこられる人も居る。

等しく世の中から制裁を受けるべきだという方も居る。特に不倫の問題の時などにその主張は多く見られる。感情論的に言えばわからなくもない。

が、どんなにクズでも、どんなに女性関係がだらしなくても、その人にしか出来ないことがあれば人気が戻ってくる。そういう稀有な存在は居る。納得がいかない部分はあるが、見たい人・聴きたい人が居れば商品として成立する。そういうことだ。

そして私にとって達郎とは、その種の存在だった。
結局私はサンソンに戻った。

今までと距離は異なるし、共感できなかった例の事件の対応の記憶は恐らく達郎が引退するまで消えることは無い。

好きの度合いも共感の深さも低下したことは事実だ。

だが、達郎にしかないものがある。
だから私は達郎を聴く。

人気商売とは、そんな単純なものだ。

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