危機を未然に防いだかもしれないけど、またしても誰も認知してくれなかった噺
少し前の話しなんですけどね。
私が今住んでいるマンションの向かいにちょっと個性的な外観の建物、マンションだと思っていたんですけどまぁまぁ建てられてから時間の経過したアパートがあるんです。
アパートだっていうことを知ったのもつい最近なんですけど、アパートにしては何故か表現になってしまうんですけど、駐車場にバカでかいハマーとかボートが置いてあるんですよ。
なんかね。
おや?と思う建物なんです。
気にはなっていたんです。
そのちょっと奇妙なところはね。
どんな人が住んでいるんだろう。
っていう興味はありました。
でね。
この建物でちょっとした異変がありまして。
異音が聞こえてくるんですよ。
ピーピー鳴り続けているんです。
最初は規則的に鳴る音からしてああ、目覚ましでも止め忘れているんだろうくらいにしか思っていなくて、気にも留めなかったんですけど、
夜になっても、朝になっても止まらんのですよ。
こうなってくると、流石に気になります。本当に静かな住宅街なんですけど、その住宅街の中にはあまりそぐわない音がずっと鳴っている訳ですから。
1週間経ち。
2週間経ち。
まだ鳴り続けているんですね。
流石にこれはおかしいと思いまして、軽くうちのマンションの管理人さんにそんな話を振ってみると、あーそうですね、ずっと鳴ってますもんね。って感じで返してきて。
認識はしているみたいなんですよ。でもよそ様のアパートですし、特に自分から何か対応するっていうことはしていないみたいだったんです。
2週間四六時中鳴り続けているっていうのは何かがあるかもしれないし、誰も何もしないっていうのがとにかく引っかかる。
こういうの、私は何もしないのが嫌なんですよね。
もしかしたらどっかの部屋で誰かが変死体になっているかもしれないですし、なんかが爆発する可能性だってゼロではない。
なんかあった時に多分後悔するのが自分なんですよ。
誰も動かないならちょっと探ってみよう。
って思ったんです。
アラームが鳴っているところに近づいてみると、白い扉みたいなところの内側ですから、明らかに設備室っぽいところから出ている。
だから推測ではありますけど、誰かが野垂れ死にしているということではなさそう。それは安心しました。
で、その白い扉の前に電気設備かなんかのケーブルが接続されずにプランプランしているんですよね。怪しそうなんですけど、因果関係なんてわからない。
とりあえず、この建物の管理人さんに聞いてみよう。って思って、入り口付近をさがしたんですけど、管理人が居ないっぽいんですね。このタイミングで、この建物がアパートであることを知りました。
じゃあ、管理人が居ないような建物で何かが起きている可能性があるんだとすると、周辺住民としてはどうすればいいのか?
当事者意識っていうのは恐ろしいもので、その辺も含めて検索して調べちゃうんですよ。
警察に通報すればいいのかな?って思ったら、そういうのは役所の窓口に問い合わせるのがいいみたいなんですよ。
へー
なるほど
この知識、多分今後の人生で応用されることは全く無いと思うんですけど、役所の問い合わせフォームに
うちの前の白い扉から2週間くらいピーピー朝も夜も鳴り続けていてちょっと怖いんで、建物管理者に連絡してはくれませんかね
みたいなことを書きました。
そしたらね、これもまた以降の人生に全く役に立たない豆知識なんですけど
「管理会社は「~社」なのでここに連絡してください」
って言われるんですよ。
…
それは住民に依頼するんだ。
いいんかな、その丸投げは。
って思いながらも、その是非を説いていても一切物事が進まないんで教わった連絡先に通報しまして、この住所の建物から異音が続いているって言ったら調査しますって回答が来まして、
その日の夜にはもう音が出なくなっていました。
…
なんか色々とあっけなく終わった感がありましたけど、まぁいいかと。
ただね。
凄く気になることがあったんです。
このピーピー音。
気になってたの私だけだったんかな、って。
確かにね、物凄くうるさいわけではないんですよ。うちからちょっと距離あるし、マンションに居る分にはあーなんか聞こえるなぁ程度のもので。
で、じゃあアパート的にはどうか?っていうと、設備室なので居住スペースからは離れていて、しかも玄関からは真逆に位置している。
だから、誰も当事者意識なんて抱き得ない。
細かいことが気になる私くらいだったんですよ。
たぶん。
恐らくね、きっかけもすっごく下らない理由でアラームが止められていなかったっていうだけで、更に誰も声を上げなかったからずっと続いていて。
私みたいな者が居なかったとしたら恐らく1か月経っても誰も対応しなかったんじゃないかなって思うんです。
妻にも話しましたけど、あー止まったね、ってくらいで。
まぁ妻も細かいことをあまり気にしないのが美点っていう大らかなO型気質全開の人だから、神経質な私とはちょうどよく合うんです。
ただ。
恐らく。
地域住民の殆どみんながそんな程度だったと思うんですよね。
だから…
またしても。
またしても、なんですよ。
ひょっとしたら危機的な状況だったのかもしれないけど、このピーピー音という日常に埋没した非日常だったかもしれない事態は、神経質な近所のおっさんによって解決された
というだけの話になってしまった。
っていうことでした。
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