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歪んでいるのは世界なのか自分なのか 若松孝二『血は太陽よりも赤い』

「ぶっ壊せーぶっ壊せ―」というオープニングの音楽が、青春の熱き衝動というより異形の叫びに聞こえるのはこの映画が内包する共時的な固有性のせいなのか。寺山修司が褒めたそうだが、アヴァンギャルドっぽさというよりも主人公を始めとする若者の芋臭さも含めた鬱屈とした空気感は確かに寺山っぽさも感じる。だが実際そんな事はどうでも良くて、青春だの若さだのといった諸々の類型化した属性から切り離された所にある、獰猛なまでの怒れる自我が全面化した「俺」と、体の奥底まで不正義が染みついた唾棄すべき「大

    • 文化とは抵抗運動である ルビカ・シャー『白い暴動』

      音楽界にはびこる差別と闘う 「仕事さえあれば失業手当はいらないし、俺も愛やキスの歌を歌うかも」とクラッシュのジョー・ストラマーが語る70年代イギリス。最悪な経済状況の中、失業、賃金と社会保障の切り下げで人々の生活は逼迫し、誰もが暗く辛い気持ちの中にいた。逃げ場もなければ希望もない、行き止まりの閉鎖感と社会からの疎外感が遍満する中で、怒りや経済苦の起因を求める矛先は「よそ者」である有色人種の移民たちに向かった。右翼は移民による犯罪が増えると主張、政治家のイーノック・パウエル

      • 予測された未来 スティーブン・ソダー・バーグ『コンテイジョン』

        2011年の時点で現在を予言していたと最近話題の映画、『コンテイジョン』。パニックによる買い占め、封鎖される都市、医療従事者の感染、不平等なワクチン配布、確かに映画は現在と酷似している部分が多々ある。この映画の監修者は、疫学の学者たちは過去10年から15年前からいつかこういったパンデミックが必ず起こると主張してきたと言い、実際この映画の監修もその警告を人々に耳を傾けて欲しかった為に引き受けたという。つまり現在とは高確率で予測されていた未来なのである。 https://wi

        • ノイズ・パワーエレクトロニクスのショック戦略とファシズム

          過去との不和 先日、MERZBOWのツイッター上での発言を巡り、ちょっとした騒ぎがあった。merzcastという、海外のファンがMERZBOWのアルバムを元にトークをするポッドキャストに対して、MERZBOW本人が抗議の意を示したのだ。現在は削除されてしまっているが、内容としてはメルツバウは2003年以降、ヴィーガンストレートエッジのプロジェクトとして活動しており、以前の思想や活動については否定しているものもあるので、昔のインタビューを持ち出して今も変わらないと勘違いさ

        歪んでいるのは世界なのか自分なのか 若松孝二『血は太陽よりも赤い』

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