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あなたは今、どんな仕事をしていますか?

連休中、手に取った本の一節に思わず手がとまった。

「わたしの、仕事・・・?」


本当はこの本との出会いとか
またこうしてnoteを書き始めようと思えたきっかけとかを

書いていたのだけれど、
ようやく書き上げたはずの下書きが消えてしまって
そのショックから立ち直れていないので
それはまた立ち直れたタイミングで。


***

「塾講師」という仕事に出会って、約15年。
思い返してみると、常に何かを悩んでいたような気がする。


大学受験に失敗して、進学校から地元の私立大学へ。
自信も、希望も、全部失っていた。

ずば抜けてできる科目があるわけでもなく、
むしろ人見知りで、初対面と雑談は苦手。
「受験」なんて言葉、見たくも聞きたくもなかったはずなのに、

なぜか、塾講師のアルバイトを始めていた。

あの頃の記憶はあまり残っていなくて
きちんとした理由はわからないけれど
もしかしたら、自分の失敗を取り戻したかったのかもしれない。


それから15年。

家庭教師も含めて、色んな塾で、色んな経験をしてきた。
生徒たちの見せる「わかった」という瞬間が何より好きだった。
楽しいことも、嬉しいこともたくさんあった。

だけど、それ以上にしんどいこともたくさんあった。

けど、結局この仕事から離れられず、今も生徒たちの前に立ち続けている。


そして毎年、何らかの壁にぶち当たっている。
一体、この仕事に壁はいくつあるんだろう。

今の職場で働き始めて7年。

ようやく自分の指導スタイルも確立し始めて、どうすれば成績を伸ばすことができるのか、しっかりと見えてきた。

けど、だからこそぶち当たった壁があった。


”指示を守らない生徒への対応”


自分の中で1つの正解を見つけたからこそ、
そこから逸れることは、許してはいけないことだと
勝手に思い込んでいた。

そこを従わせるのが私の仕事だ、と。

気付けば、いつも怒っていた。
嘘をついたり、逃げてばかりの生徒に嫌気がさし、
力でねじ伏せようとして、いくらか痛い目もみた。


どうすれば、いいんだろう。


何度も何度も自分と向き合って、
ようやくたどり着いた1つの答え。


「人は変えられないし、変える必要もない」


生徒の成績を上げること、
志望校に合格させることが
塾講師の仕事で

だからこそ、これまでの経験で培ってきた
私が見えている最短ルートに導かなければいけない。
そこから外れようとする生徒は、矯正しなければいけない。
変えなきゃいけない。

いつからか、ずっとそう思い込んでいた。

けれど、私が見ている最短ルートとゴールは
生徒たちの望むルートやゴールと必ずしも一致するわけではない。
というか、一致しないことがほとんどだ。

だから、嘘をついたり、約束を破ったりする。

それを間違っていると断罪することは簡単だし、
実際、そうやってきた。けど、何も変わらなかったし、
何より自分がすごく辛かった。


だから、いっそのこと止めてしまうことにした。


正しい道へ矯正するのでも、導くのでもなく
”ただ見守り、寄り添う”

嘘をも、逃げも、含めて
全部受けとめる。

目の前の生徒たちの今日とこれからが
ほんの少しだけ、よくなっていくことを信じて。


自分の足で、きっと歩いていける。
自分の手で、道を切りひらいていける。


わたしが、わたしを信じるように
生徒たちのことも、まずは信じてみたい。
そう思った。


ただ見守り、寄り添いながら、
ほんの少しだけ違う世界を見せ続ける。
わたしの好きな世界を。

それが今、わたしが思う15年目の「わたしの仕事」。

長い間、自分で勝手に決めつけてきたわたしの仕事を
少しだけ解釈し直してみようと思う。

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