004.転調

だいぶ久々の記事になる。

FFさんであればご存じの通り、ここ数か月で櫻坂46(以下、櫻坂)の熱が急激に上がった。
幸運なことに「新参者 LIVE AT THE THEATRE MILANO-Za」で初のライブに参加する事も含め、櫻坂の曲を多く聴く中で気付いたことがある。

櫻坂の曲の転調、エグくね?


乃木坂46では杉山勝彦氏の曲が特に好きな曲が多く、杉山氏自身が本人も認める通り転調が好きな作曲家でもある。
最新曲「Monopoly」もそうだが、特にラスサビでの転調は印象深いものが多い。

ただここ最近櫻坂の曲を聴く事で感じたのは、ラスサビに限らず遠めの調への転調が多く、それは必然的に近くの調への転調に比べると歌唱にも難易度が高くなるという事でもある。

乃木坂46の先の杉山氏の作品で「サヨナラの意味」があるが、この曲は落ちサビF-dur(ヘ長調)からの大サビGes-dur(変ト長調)は半音差で近い音になる。
(同じ杉山氏の「僕は僕を好きになる」も同じ転調をする)

さて、櫻坂は例として「Start over!」を挙げてみよう。
この曲は間奏の転調が死ぬほど目まぐるしいのだが、今はそこは置いといて(折角なので最後に少し触れる)、1サビからAメロに戻るところを特筆したい。

この曲、ベースソロが印象的な始まりはA-moll(イ短調)となり、そこからAメロまではそのままA-mollで進行する。
Bメロ「こんな夜遅く」のパートから同主調のA-dur(イ長調)、サビでEs-moll(変ホ短調)に転調する。
ここまででもなかなかの動きなのだが、サビが終わり2小節で2番Aメロに戻るところで当然A-mollへ戻る。
A-mollからA-dur、A-durからEs-mollは比較的関連性のある転調で自然だったが、このEs-mollからA-mollは所謂「遠隔調」と言われる最も遠い調になるため一気に引き戻される感じを強く受けるところ。

櫻坂は「Overture」も最後20秒くらいで転調があり、これは乃木坂46や日向坂46のOvertureにはない大きな聴き所だが、そこまで掛け声などは入りつつも単調なギターリフの繰り返しだった分、一気に開幕への流れとなる効果を存分に発揮していると思う。

「Start over!」に収録される三期生曲「Anthem Time」や、「BAN」に収録される「それが愛なのね」はBメロからサビの転調も遠めで印象的なのだが、逆に同じ「Start over!」に収録される三期生曲「静寂の暴力」では頭から終わりまで一切の転調なしというこの対比もすごい。

最後に先に置いた「Start over!」の目まぐるしく転調する間奏を見て締めようと思う。

これはピアノ版の楽譜だが、どうだろう。
クラシック音楽感の強い「Start over!」に違わずここはピアノ協奏曲のカデンツァの様相も呈しつつ、僅か4小節、時間にして10秒にも満たない短い間にEs-moll→Fis-moll(嬰ヘ短調)→A-mollと2回も転調している。
この後は落ちサビまでA-mollが続くが、そこを経て大サビでのE-moll(ホ短調)は圧巻の一言。
E-mollといえば印象的なクラシックの曲は数多あり、それこそピアノ協奏曲で言えばショパンの1番だったり、乃木坂界隈で言えば絢音ちゃん出演のドラマ「リバーサル・オーケストラ」のメインテーマだったチャイコフスキーの交響曲5番もE-mollである。

比較的クラオタ感が強めな今回の記事だが、それだけ聴いていて面白く、乃木坂46とはまた違った新たな魅力を発見しているところである。

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