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複数の線で繋ぐことができる文化人~大納言公任まとめ*後編

ちはやふる44巻、クイーン戦二試合目。

公任の『たき』は詩暢ちゃんが取り、清少納言の『よを』は千早が取る。清女が千早のことを(面白い)と感じて、そっちに行ったような描写はまるで、花いちもんめで遊んでいるかのよう。
そして最終局面、(クイーン相手に『め』を送る⁉️)と驚かれた紫式部の『め』は、詩暢ちゃんの取り。花いちもんめだったとしたら、紫ちゃんは清女の方へは行かないだろう。
ということは、詩暢陣営に下ったのは、公任と紫式部…『うた恋い。』の世界線で『公紫』と呼ばれるカップリングですね☺️

【紫式部と公任】

紫式部日記『五日の夜は、殿の御産養」

紫式部が仕えてる彰子が皇子を産んで、五日めのお祝いの日。道長たち上達部は、紙を賭けて双六のような遊びに興じている。紫式部たち女房は、祝賀の歌を用意して、公任に歌を差し出すときは気配りが必要だ、なんて話している。けれど結局、歌を披露する機会は無かった。

『御五十日は霜月のついたちの日』

公任が「こちらに、若紫はいらっしゃいますか?」なんて呼びかけたが、紫式部は(光源氏に似る人もいないのだから、紫の上のような人もいません。)と無視をした。

さてこの、「紫ちゃんいる?」のエピソードですが、紫式部の“ツンデレうっすら自慢”を感じませんか?
一介の女房である紫式部が、公任を無視しても許されるような関係なの?とか。前日譚として産養の夜に、公任たちが酔っ払って羽目を外してた様がほとほとイヤだったのかも?歌を用意していた人の気も知らないで!という経緯で無視をした、と想像するのも可愛いし。

そして私目線で言うと、当代一の文化人である公任が(当然、源氏物語読んでますよ)かつ(その作者とやり取りしたいなあ)という態度で来たというのは、すごいことに感じられるんですね。当時『物語』というのはあくまで、女子供のなぐさみもの、という扱いだったでしょうから。
現代で例えて言うなら、私のお気に入りの少女漫画を著名な学者さんが褒めていた!という感じでしょうか?興奮しませんか?
今でこそ世界中で評価されて、押しも押されぬ『源氏物語』ですが、当時気後れしつつ宮仕えしていた紫式部にとって、公任が褒めてくれたというのは、かなり、ありがたかったんじゃないでしょうか?(まあ、一条天皇も褒めてくれてて、それには敵わないですが)

【和泉式部と公任】

「知ってる?百人一首って2首ずつふすまに飾る色紙だったって」[ちはやふる44巻より]

そうすると、55番公任の『たき』の歌とペアで飾られていたのは56番和泉式部の「あらざ」ということになりますか?百人一首は年代順に並んでいるので、お隣さんは同時代人、何かしら繋がりはあるでしょうが、ググって調べてみました。そうしたら『花盗人』という可愛らしくも心踊るキーワードが!

↓詳しくはこちらの『長岡京小倉山荘』さんのブログをお読みになってください。

https://ogurasansou.jp.net/columns/arakaruta/2018/01/18/1812/

要約すると、和泉式部と恋人の親王が公任の屋敷に遊びに行ったのだがあいにく留守だった。公任の屋敷の桜が見事で花泥棒したいくらいだった、と親王は歌を贈り、公任も歌を返し、やり取りが続いた。

という話なのですが、(お客が来るのは桜目当てでしょ)みたいな歌を詠んでる公任、拗ねてんのかよ!かわいいか!

さて、今回の記事を書くにあたって『公任』でググってみたら、面白エピソードが出てくるわ出てくるわ!
栄花物語や道長の日記など、出典まで詳しくは記せないのですが(ごめん、めんどい)簡単にご紹介させて。

*蹴鞠の鞠が遠くに行ってしまったとき「父親が大納言以下の者が取りに行くべき」と。該当するのは行成ただ一人。←いじめか!
行成の父義孝(50番『君がため を』の作者)は早世だったから…😭長生きしていれば、それ相当の官位だったはずなんだけどね。「をしかりざりし命さへ 長くもがなと」行成のことを思って読むと更に(ほんとに、そう!)と感情移入しちゃう!

*斉信に出世を越されて、辞表を出して引きこもった。←わがままか!

*他にもボイコットする事多かったらしい←自信家でメンヘラ!繊細か!

*彰子入内の用意に、そうそうたるメンバーが和歌を詠み、行成が屏風に書をしたためることになったのだが、「和歌が出来ない」と言い、立案者の道長に急かされ、やっと出した和歌が絶品だった。←ただのもったいぶり!わざとに違いない!

*実方(51番『かく』の作者)や斉信のようには、女にモテなかったらしい←だろうな!

とまあ、調べれば調べるほど、キャラが濃い!漫画より漫画みたい!思ったよりも『うた恋い。うた変』は史実に基づいている⁉️公任マジ公任!びっくりでした!

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