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大流行の魔法薬より、いつ食べるか【世界最先端の抗老化法】~開かれたパンドラの箱

皆さんこんにちは。有言実行!
なるべく投稿間隔が空き過ぎぬように、先週に続きブログを投稿します。

ワシントン大学医学部教授が2021年に発売した、最先端のこの著書は、以前紹介した「健康もマネーも人生100年シフト! 勝間式ロジカル不老長寿」とほぼ同時期に発売され、より精密に寿命を延ばす仕組みについてつづられています。それを今日は深堀してゆきます。

元気に過ごそう~老化は病気で治療できる

身体的な老化は、薬で治療できる時代になってきた。

次の物質が老化に作用し、人間の寿命を延ばすことに働きかけることが明らかになっている。

ラパマイシン:臓器移植の際に免疫反応を抑える薬
メトホルミン:糖尿病の治療薬
レスベラトロール:赤ワインなどに含有される抗酸化物質
NAD(ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド):7種類のサーチュイン遺伝子をすべてを活性化するといわる物質
NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド):NADの前駆体。米国・中国で大流行のサプリ

若返りの魔法薬!NAD&NMN

若返りに関与する成分として世界で注目されるNAD。
細胞がエネルギーを作ったり、使ったりするために欠かせない物質で「補酵素」と呼ばれている。補酵素は酸素が働くときに必要とされる物質。
NADを使うサーチュインの働きが酵母の寿命の制御に必須であり、そしてそれは哺乳類でも同じ活性をもっていることが判明。

https://www.e-expo.net/information/kangen_nmn/

「カロリー制限」は様々な生物の老化を遅らせ、寿命を延ばす効果があるといわれているが、NADを増やすことで、SIRT1(サーチュイン1)を過剰に働かせると、カロリー制限をかけた時とそっくりな状況となり、結果寿命を延ばすことができる。
例えば、老化すると、インスリン分泌がうまくできなくなる。
私たちの体には、それぞれの年齢において体全体の生理学的な状態が一定に保たれるようなシステムが働いている(ホメオスタシス)。
甘い物を食べたら血糖値は一時的に上昇しても、一定値に戻る。でも年を取ると、その能力が低下して、血糖値が上昇したりする。
そして、ある時、システムが崩壊したら、寿命が尽きる。

SIRT1が、2~3倍になるBESTO(トランスジェニックマウス)は、普通のマウスよりも餌を与えた時に血糖値をより素早く下げることができる。
インスリンを分泌しっぱなしにしているわけではなく、糖が来た時だけ素早く反応する対糖能を備える(これはカロリー制限をかけたマウスに似た能力)。
さぞ長生きしそうだが、BESTOマウスは、歳をとるとインスリンをたくさん分泌できなくなってしまった。予想と反し、NAD合成が落ちていることが判明した。NMNを供給してNAD合成を増やせるか試すと、メスは元に戻り、オスは戻らなかった。

マウスでのNMNの抗老化作用

SIRT1を、脳(視床下部)に沢山発現させたマウスはBRASTOマウス。
絶食をさせても、カロリー制限下の行動や体温維持をコントロールできて活発に動く。
メスは中間寿命(健康寿命)が約16%、オスは約9%も伸びた。メスは最大寿命が延びた。雄は統計的な有意差はなかったが、やはり最大寿命は伸びた。
老化が遅れて、ガンになるのも遅くなることがわかった。

糖尿病マウスに NMNを与えNADを増やすとメスに劇的な治療効果。
わざと、糖尿病にしたマウスには1週間から10日で回復。
自然に発症した糖尿病マウスはたった1回の投与で正常に戻った。
若い時から正常なマウスに一年間投与したところ、年をとってもしっかり餌を食べた

以上の事から、2つの道筋で、インスリン分泌が増えて抗老化につながるとわかる。

①視床下部のサーチュインを活性化させる

②NMNを増やし、NAD合成量を上げ、サーチュインを活性化

②の出発点となるのがニコチンアミド、ニコチン酸(総称してビタミンB3)。

※トリプトファンからできる経路もあり

そしてNAMPT(ビスファチン)はNAD合成の補酵素。
ビタミンB3のNMNへの体内合成を助け、SIRT1を活性化させる。

そして、NAMPTを作る遺伝子は肝臓と脂肪でサーカーディアンリズム(体内時計)に従って変動している。
マウスでは昼間低く、夕方から上がり始めて夜2時ごろにピークになる。マウスの場合はNAD合成は夜に高く、昼は低い。
人の場合はその逆となる。
加齢と共にサーカディアンリズムの振り幅が小さくなる。メリハリが減り、ダラダラとしたリズムになる。

小太りマウスの方が長生きする

NMNを作り出すのに欠かせない、NAMPT。
NAMPTは二つの型があり、一つは細胞内で働くiNAMPT。
もう一つは細胞外(脂肪組織)に分泌されるeNAMPT。

https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v13/n1/%E8%80%81%E5%8C%96%E3%82%92%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%97%E3%80%81%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%99%E3%82%8B/70752

すなわち脂肪の多い「小太りマウス」はeNAMPT(NAD合成に必要な酵素)の分泌能力が高いため、寿命を伸ばすことができる。

eNAMPTは、マウスが老化するとオスで74%、メスで33%減少。
老齢マウスの血液中のeNAMPT量を計測し、その後どれぐらい生きたかを調べると、強い相関関係が生まれた。
そして若いマウスの血液を老いたマウスに1週間に1回3ヶ月注射したところ中間(健康)寿命は11%、最大寿命が16%のびた。
見た目も若くなった。

そこで、eNAMPTが減らない遺伝子操作マウス「ANKIマウス」を作成したところ、中間寿命はメスで13%伸びた。
睡眠が細切れにならず、糖刺激に対するインスリン分泌能力が高く、網膜の視神経細胞の機能は保たれ記憶学習能力が高いなど様々な抗老化作用を示したが、最大寿命は伸びなかった。
その理由は脂肪が萎縮したからではないかと考えられている。
脂肪組織が萎縮すると、eNAMPTを含むEVs(細胞外小胞)の分泌量が減るため。

人為的にeNAMPTを注射をし続けない限り、脂肪の多い小太りマウスが長生きするのである。

カロリー制限(間欠的断食)については、マウスでもたくさんの研究報告がある、代謝が改善し、中間寿命が少し伸びる結果が出ている。

オーストラリアのグループが大規模な実験を行った、炭水化物とタ3:1逆に1:3にした餌をマウスに食べさせたところ、炭水化物多めマウスはちょっと小太りになり、タンパク質多めマウスはすらっとした外見になった。

しかし、寿命が延びたのは炭水化物が多い餌を食べたマウスだった。
タンパク質はアミノ酸の集まりで、アミノ酸はインスリン様成長因子IGF-1を増やすIGF-1は主に肝臓で作られるホルモンで、それが増えるとガンのリスクが高まるため、寿命が短くなったと推定される。

この結果に、飛びついて炭水化物が多い食事をすればいいと思うのは早計。
人の場合、特に高齢者は腸からのアミノ酸吸収が落ちるので、多めのタンパク質を摂った方がいいと、著者達は注意を喚起している。

カロリー制限をして寿命が延びるのは、小太りマウス

「ホルミシス」とは、生き延びるための応答システムにスイッチが入り老化を遅らせる現象。

弱い放射線を照射し続けると、より強い放射線の照射に耐えられるようになったり、栄養不足に陥らない程度にカロリー制限することで防御システムが活性化する。適度な運動で発生する活性酸素も老化を遅らせる上で重要な効果を示す。この時に、抗酸化ビタミン剤を同時に服用すると、運動が示す良い効果が失われてしまうので注意。

難しいところは、どのくらいが適量で、どのくらいになると害が出るのか?
動物を使った実験で得られた結果が、健康な人に当てはまるかどうかが、遺伝子の多様性で全くわからない。

人類は百余年にわたり実験用のマウスを設計

カロリー制限で寿命が延びたという報告があるマウスたちは、実は同じ遺伝子系統の小太りマウスたちだったことが判明している。

マウスは人為的に交配が行われているため、双子のようにそっくりな遺伝子を持っている。
遺伝子的背景をバラバラにしてカロリー制限の実験をしてみたら、結果はバラバラになった。
カロリー制限で寿命が延びる系統のマウスの特徴を調べてみると。寿命が伸びない系統なマウスに比べて、中年から老年にかけて脂肪を蓄えている特徴がある。
カロリー制限に反応して、脂肪からeNAMPTを取り出し、NADを合成している。一方、脂肪の無いマウスたちは、NADを合成する事もできずカロリー制限のマイナス面が出て早死にする。

気をつけなけれればならないのは、カロリー制限で代謝能力は高まるが、病原体に対する抵抗力が落ち、インフルエンザウイルスを感染させるとカロリー制限マウスたちはあっという間に死ぬ。
人間でもダイエット中は風邪をひきやすい、筋トレを週4回以上行うと早死にする…等いわれているように、力強い免疫システムを優先するのであれば、今はやりの断食はベストチョイスとは言えない…

特に現在のように、新型コロナウイルスが世界的に蔓延している状況では、ちょっと小太りの方が、生存確率が上がるかもしれない。

サーカディアンリズムを整える最強の食事術

ここまで上述した②ばかりを述べてきたが、①と②はセット。
何を食べるかよりいつ食べるかというのが重要である。

①視床下部のサーチュインを活性化させる
②NMNを増やし、NAD合成量を上げ、サーチュインを活性化

例えば、NADに変わるNMNは野菜や果物に含まれる代表的もの

植物の種子にも含まれる。恐らく発芽する時にNAD合成が必要になると予想。

4、50代の人は、全血液中に約50ミリグラムのNMNを含んでいる。色とりどりの野菜をたっぷり食べ、一日に数ミリグラムのNMNを取ることが大事。

前述したように、マウスの場合はNAD合成は夜に高く、昼は低い。人の場合はその逆となる。加齢と共にサーカディアンリズムの振り幅が小さくなる。メリハリが減り、ダラダラとしたリズムになる。
それを健全に保つことが重要。

栄養や代謝がサーカディアンリズムにどのように影響を与えるのかという研究が盛んに行われていて、海外旅行の時差、夜勤、などのストレス状態から体をもとに戻すには、活動期の始まりに、高いカロリーを摂ることが重要だという研究発表が相次いで行われている。

視床下部の神経細胞には、栄養を検知する働きがあり、栄養が来たとわかると働き出しリズムが整う。人間においても。「朝食をたっぷり食べる必要がある」という事がわかる。

そこで、著者は朝食を夕食の内容と入れ替え、3ヶ月くらいかけて体重がゆっくりと減少。ある程度減少したら、それ以上は減らなくなった。ちょっと小太りで止まるのは、視床下部が働くため、一定量の脂肪組織を必要としているからと考えられる。

このように、朝たっぷりと食べ血糖値をガツンと上げて、視床下部の神経細胞を活発化させる、それによって昼間の活動能力は高まって、夜はぐっすり眠れるようになる、こんなに調子良くなるとは思わなかった。以来7年間以上妻と私はこの生活を続けている
朝からステーキ!

もし、NMNを飲むとしたら、朝に飲むのが効果的ともいえる。

繰り返すが、ここで重要なのは、何を食べるか以上に、いつ食べるのかを重要視する事。

他研究を30年以上続けて生物、本来が持っているリズムと能力を高める生活習慣を続けるということが大切だという結論に達しつつある。

「皇帝のように朝食を食べ、王様のように昼食を食べ、夕食は物乞いのように食べなさい。」

ドイツ、イギリス、中国にも同じような格言がある

太陽が昇ったら、身体の要求に応えたっぷり食べて、夜は少し食べて、しっかり寝る。寝る直前までスマホを見ない。

適度に運動する。運動が良薬となる、筋肉中のNMPが増え、NAMPTの合成が上がることが知られている。

先人たちの知恵に学ぶ。

「もし、自分に人より遠くが見えたのだとしたら、それは巨人の肩の上に立っていたからだ」

終わりに

いかがでしたでしょうか?
NMNは、既に数多くの会社が製品を市場に出しているが、ピンキリ。
世界で動物とヒトの両方で安全性が検証されているものは、わずか2種類しかないそうです(2021年4月)。

高品質の、NMNが普及するまでの間、老化防止のため、私たちが今すぐ手軽にできる事。

それは、睡眠・食事・運動の3種の神器。

以前の記事にも繰り返し、出てくる結論に達しました。

書籍では、NADとNMN以外にも下記の物質の作用にも言及されています。

ラパマイシン:臓器移植の際に免疫反応を抑える薬
メトホルミン:糖尿病の治療薬
レスベラトロール:赤ワインなどに含有される抗酸化物質

物語なので、色々な逸話が交えてあり面白い。
是非読んでみてください。

Let’s Enjoy Moment 🍒​

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「 ヨガ × 予防栄養学 美しくなる人を増やす 美月 」

Twitter: https://twitter.com/hiroshimayoga

Note:https://note.com/mamayoga







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