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【プレイオフを振り返る】#4 もう一つのスモールボール(Game2後編)

こんにちは。
ついにLACのプレーイン出場が確定しましたね。勝ってMEMか、1回負けてPHXか、いずれも茨の道ですが、とにかく頑張ってほしいです!!!

さて、前回に引き続きGame2を見ていきます。前回は、ルカとのマッチアップや、ルカとルカ以外の選手のボール占有度・FG%などを中心に見ていきましたが、今回は選手起用・スモールボールの観点からGame2を振り返ります。


選手起用


まず選手の出場時間の推移を見てみると、8分以上変更があった選手は、
(減少)モリス、バトゥム、イバカ
(増加)レジー、マン
となります。イバカは結果として背中の怪我で次戦以降欠場するので理解できますが、意外にもフォワード陣が減少しており、またスモールの時間帯は17分→22分と微増に留まります。

表1 出場時間



ローテーションとスモールボール


次に、ローテーションを見ていきます。

表2 ローテーション

パッと見てわかる通り、前半と後半で選手起用に変化があり、まだ最適なアジャストメントを模索しているように見えます

Game1では、3Qに展開したバトゥムをセンターにしたスモールボールが、全Qで敗北した試合の中でプラスマイナスは「+2」を記録し可能性を見せていましたが、一方クラッチタイムではオフェンスの停滞を生みました。

そこでGame2では初めて、もう1つのスモールボールであるモリスがセンターのスモールボールを展開します。今回振り返るまで、筆者もあまり認識していませんでした。

1度目は、2Qの5:57、51‐52の1点差に迫ったタイミング投入されます。それまで、2Qでもポルチンギスがズバッツ相手に容易にシュートを決めるなど、ドンチッチ不在の期間でも差を詰め切れなかった状況で、カワイ・ポジョ・ロンド・レジー・モリスという超攻撃的ラインナップに切り替えた経緯です。

DALもこのタイミングでドンチッチを再投入、モリスがマークを担当しますが、ドンチッチは容易にファールを獲得。モリスを抜いて、カバーがレジー or ロンドというのも厳しく、すぐにベバリー投入、また1:18にはバトゥムも投入。スティールからランで、1:00には同点に追いつきます。
結果的にモリスのスモールボールは「-1」と、オフェンスは好調ですが、やはりディフェンスのもろさを見せ、また度重なるファールからして長持ちはしないように見えた結果となりました。

2度目は、4Qの8:10、99-109の10点ビハインドの状況で、カワイ・ポジョ、ベバリー、モリス、マンというラインナップです。モリスをセンター起用する代わりに、ガード陣はディフェンダーを2枚重ね、ドンチッチにはポジョはつき、モリスはクリバーにつきます。一時8-0のランで5点差に迫りますが、モリスがファールアウトで退場となり、プラスマイナスは「+3」であったものの、やはりファールがかさむ問題は解決しませんでした

ちなみにモリス退場後、レジー・マン・ベバリー・カワイ・ポジョというセンター不在で、PG/SGが3人以上出る超小型ラインナップが展開されますが、Game2を通してこれも試験的に導入されていました。

表3 ローテーション ver2

表3の緑の枠で囲んだ選手が、身長2メートル未満のガード陣(ポジョはフォワード換算しています)が3名以上同時に出場している時間帯で、なおかつズバッチが出場しないスモールボールの時間帯を表しています(以下、「マイクロボール」とします)。マイクロボールはGame2で多くの時間帯で試されていました。

速攻からマンのダンクが炸裂する等、機動力に優れたラインナップで、1度目の2Q 1:18~では7-3のラン(+4)、2度目の3Q 3:20~では9-8のラン(+1)を生み出し、3度目の4Q 8:10~4:49では10-5のラン(+5)、3:43~1:03は±0と、このマイクロボールも一度もマイナスになりませんでした。特に、小柄ながらドンチッチに対してミスマッチとならないテレンス・マンは、この試合で目に見えて信頼を獲得し、前半に出場がないものの4Qではほぼフル出場を果たします。本当に頼もしい・・・!!!

このマイクロボールの背景には、やはりレジーの活躍があったでしょうか。カワイとポジョの負担を軽減するクリエイターの存在は大きく、随所で決める3PはLACに勢いをもたらしていました(3P%は、3/8=37.5%)。


選手起用を振り返る


出場時間の増減が大きかった下記の選手について振り返ると

(減少)モリス、バトゥム、イバカ
(増加)レジー、マン

モリスは退場、レジーはオフェンス力、マンはディフェンス力と機動力を買われ、それぞれ変動があったものと思われます。
他方、なぜバトゥムの出場時間を減らしたのかは筆者もわかっていません。彼のスタッツは、9P、3R、1A、FG 3/5、3P 2/3と文句のない内容で、こと3Pに関してはチームで最も確率よく決めていました。

考えらえるものとすれば、ゾーンの展開やカワイへのトラップなどOFに苦しむ中で、よりオフェンシブなプレーヤーを集めるために、クリエイターであるレジーやモリスを極力試合に出しておきたいたいティロンルーの意向だったのでしょうか。となると対人ディフェンダーの起用が優先され、マンやベバリーを起用したい、ということも頷けなくはありません。



終わりに


さて、Game2(前後編)を振り返ります。

  • カワイ・ポジョをルカにつけてルカ封じを試し、アイソでのギャップ作りの阻止に一定の成果を見せるも、C&S封じられず、DALのC&Sは45%・プルアップ56.7%

  • ルカの狙う相手は、ベバリー、ズバッチ、レジーが中心

  • スイッチ、トラップ、ドロップと試行錯誤するも、DALのオフェンスへの有効な回答にはなっていない

  • モリスのスモールボールはOFでは脅威になりえるが、DF(ファール)にやや難あり

  • レジーはOF、マンはDFで大きな貢献を見せ、マイクロボールを含む小型のラインナップでも一定の成果を得た

次回はGame3です。ここで初勝利を挙げる中で、LACは一つ目の正解を導き出しますが、その辺りについて考察していこうと思います。


【おまけ】コビントンの獲得について


これまで読んでい頂いた方には感じた方もいるかもしれないですが、筆者はバトゥムの評価が非常に高いです(ファンはきっとみんなそうですよね)。引退までLACで過ごしてほしいと切に願っています。

改めて書くまでもないですが、DFに限って見ても、時に相手のPGを守り、時に相手のセンターにフロントを取って守り、献身性はもちろん、そのベテランゆえの勘の良さでブロック・スティールも量産してくれます。DAL戦、UTA戦を通して平均32分出場ですが、勝利した試合に限れば平均36分出場しており、LACのスモールボールに欠かせない存在です。

ぱっと見、NBAの中だと運動神経がよさそうではない走り方のバトゥムさんですが、POR時代はリーグで最も運動量の多い選手だったというスタッツもあり、スタミナには定評があるんだと思います。

表4 バトゥムの運動量

これまで述べた通り、モリスのスモールボールが試されたGame2ですが、結果はモリス退場に終わりました。やはりスモールボールであっても長身のリムプロテクターが欲しい中、バトゥムの適応力は不可欠だったと気づかされました。

今シーズンのTDLでコビントンを獲得した背景には、このモリスのスモールボールの難しさと、バトゥムを酷使せざるを得ない現状を変えたかったフロントの思いがあったのでは、と考えています。現在33歳ですし、特にセンターとのマッチアップで体力を削られる役割も多く、負担を軽減する必要はあったのかなと。

また極端な話、クリッパーズが「カワイとポジョが怪我したら優勝できないチーム」であることは仕方ありませんが、「バトゥムが怪我しても優勝できないチーム」だった、と去年のプレイオフの時点では言えたと思います。
※カワイが健康なら印象も違ったかもしれませんが

替えの利かないマックス級の選手ならどうしようもありませんが、スイッチができてスモールボールのセンターをこなせる3&Dという観点で、コビントンはバトゥムに代われることから、獲得に至ったのかな~と。

「バトゥムが怪我してスモールボールができないから優勝を逃した」というシチュエーションを回避できただけでもコビントンの補強はLACにとって非常にありがたく、というかRSのコビントンを見ているとシンプルに戦力として最高な補強になってしまった感があるので上記の説がもはやどうでもいいまでありますが…笑、とにかくLACは去年より確実に強くなったと思います!

このオフのトレード予想なんかも、また機会があればやっていきたいですね。


長くなってしまいましたが、今回もお読み頂いた方、ありがとうございました!!!

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