「空飛ぶジープ的な乗り物作ってよ」米軍の漠然とした要求で生まれた変な乗り物たち

冷戦時、ソ連地上軍の数を盛り気味に勘定してガチビビリしていたアメリカ軍。兵士一人に過剰な火力をもたせたり(戦術核など)、いろいろ試していた中の一つが空中機動化。

「空飛ぶジープ的な乗り物ちょーだい」
各メーカーに駄々をこねまくった結果、数々のオモシロ兵器が開発された。

アブロカナダ代表 Abrocar VZ-9

なにこの…何?
3発のターボジェットエンジンで大型ファンを駆動させ、得られる推力は驚きの1.2tだ⁉︎ いいカラダしてんねぇ(えびす顔)
予想されるスペックは最高高度10000 ft、最高時速480Kmという超高性能で優勝待ったなし!かなり頑張って作ったけど出来上がってみたら数十センチをふらふら浮くだけで終わった。

Hiller代表 VZ-1 pawnee

ヘリコプターの老舗、ヒラー・エアクラフトが提案するのがこのおっさんがふざけてるようにしか見えない奴。方向転換は体重移動で行うという、プレステバブルの時のヘンテココントローラーみたいな操縦方法だった。
浮くには浮いたが見た目通りに脆弱で、とくに横風に煽られるとヤバいなど兵器としては問題があり過ぎて没。

Chrysler代表 VZ-6

「ジープを飛ばせばいいんだな?」
餅は餅屋、自動車業界大手のクライスラーが開発してみた。慣れないことをしたのでテスト中に大破。

Curtiss-Wright代表 VZ-7

さすが名門航空機メーカー、カーチスライトさん!
プロペラ4基で浮かしていくスタイルの手堅い作り!
最高時速は96kmとさすがの安定感、やりますねぇ!!(要求性能に達せず)

Piasecki代表 VZ-8

俺はダクテッドファンで出る。
気鋭のヘリコプターメーカー、パイアセッキが提案したのは巨大なファン2基で浮かして進む当時としてはかなり意欲的な作り。ホバーとしてはかなり良好だったが、そもそも軍の要求が「ちなみに高度は最低100mな(キリッ)」だったので没。

なお、VZ-2からVZ-5までは現在のオスプレイの原型となる航空機の試作開発にあてられたので略。

「もういいよヘリで」
真っ当な割り切りによってこの歩兵の空中機動化という一大プロジェクトはここでいったんピリオドが打たれる。
そもそも核兵器をポコポコ使って荒野になった地平で優位に展開できる地上戦力を何としても確保せねば…という当時の前提が狂っていたので、冷戦も終わって戦争の形も大きく変わったいま、こういうフライングプラットフォームに需要があるかどうかというと微妙。

クライアントが本当に必要だったもの

いいよなあ

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