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新人看護師や学生を指導する立場の看護師さんへ~どうしてもイライラしてしまうのは何ででしょう~っていう話

病院では、新人看護師さんが配属されて1か月。
まだまだ慣れない環境で精いっぱい頑張っている新人さんの姿が目に浮かびます。

そして、忙しい業務の中、新人を指導する立場の看護師さんも、なかなか自分の思うペースで仕事が出来ず、時にはイライラしたり、ため息ついたりしちゃうこともありますよね。

今日は、指導する立場の看護師さん目線で書きます。

まず、私の場合、初めてプリセプターをしたのが看護師4年目でした。
4年目といえば、仕事も一通り覚えて病棟全体を見ながら行動出来るようになり、ばりばり働いてる私かっこいい?みたいな時期です。

そんな中、新人登場です。
私の担当したプリセプティは、あの時代でいうところのギャルでした(笑)
ガングロみたいなegg系のギャルではなく、CanCamから抜け出してきたようなギャル。(伝われ~)
〇〇さ~ん、ってきゃぴきゃぴ系。
賢い優等生タイプではなく、いつも、はにゃ??って感じでゆるふわ系とでもいいましょうか。とにかく、「こやつ、てごわいぞ」と腹をくくりました。
まず、言った事が伝わらない、といういらだち。
さっき言ったよね、って毎日そればっかり。
これ勉強してきてね、って言って翌日確認しても、ざっくりであいまいな知識。
勉強してきたことを踏まえて明日受け持つ子の看護計画考えてきてね、レポート用紙でもなんでもいいから紙にまとめてきて、って言ったら
「〇〇さーん、書いてきましたー」って私にくれたものは
ハートの形におられた、中高校生が授業中友達に渡してた手紙か?っていうかわいいメモ帳。
おおおお、なにこれ。
中身は、
「〇〇SPへ♡」
から始まる看護計画?ではなく手紙だねこれは。手紙のような記述。

ごめん、SPって何?
って聞いたら、
えー、センパイ、の略ですー!
って。

ねえ、おもしろすぎるでしょ。
でもあの頃、仕事ばりばり出来る自分に酔っていた私は、
ブチギレそうでした(笑)なめんなよと。


でもこれ、今ならわかる。
言った事が伝わらない、とか、何度も同じこと言ってる、とか、新人の子の出来が悪いみたいにイライラしてたけど、
違うんです。
私の中の価値観を勝手に相手にも求めて、違いを全部「出来ない子」という判断で見ていただけです。
これは、相手の問題ではなく、(多少あるかもね)
ほぼほぼ自分の問題だったりします。

そう、

イライラの原因は、相手の問題ではなく、
相手をみている自分の中の問題が原因なんです。

たいてい、相手にもやもやを感じた場合、それは自分の中に原因があります。

どういうことかというと、
例えば、私のこのキャピキャピ後輩ちゃんの場合は、
悪気は全くありません。
むしろ、純粋で素直で、看護計画も、ただ「書いてきて」だけでは伝わらなかったんです。レポート用紙でも何でもいいから紙に書いてきて、って言った私の言葉そのまま受け止めただけです。私の中の、「こういう風に書いてきてほしいな」は伝わってません。彼女の中で経験もなく、常識も少しなかっただけで、まったくもってふざけてないんです。

でも、あの頃の私が何でこの後輩ちゃんにイライラしていたか。
その根本は、仕事ばりばり出来ているはずの私なのに、なめられている?っていう、変なプライドからくるものでした。
後輩ならこうしてほしい、こうあるべき、みたいな価値観を自分が勝手にもって、そうでない後輩にイライラ、そして出来ない子みたいなレッテルを貼って、この後輩のせいで、今まで築き上げてきた先輩からの信頼が、「指導力が足りない」とか思われて失うんじゃないか、出来ないプリセプターの私って見られるんじゃないか、そればっかり。最悪なことに、先輩と一緒にその子を「出来ない新人」と陰で言っちゃうような私。

でもこれ、あてはまりませんか?

実は、これ、看護学生を指導する看護教員にもあてはまることがあります。
以前、「学生が全然やる気がなくて実習中に自分の指導を聞いてくれない。態度が横柄で困っている。なかなか注意が出来ない」と悩んでいる教員がいましたが。

これも一緒です。

どうしたらその学生が聞く耳をもってくれるか、は解決策や答えは出ないかもしれません。
どうしてその学生に困っている自分がいるのか。
どうしてその学生を「やる気がない」と判断した自分がいるのか。

私は受け持った学生で、いわゆる「困った学生」という学生は一人もいませんでした。
いなかった、というより、そのように受け止めることがなかった、んだと思います。
時には、言葉遣いが悪い(というか敬語の使い方がわからない)、ちょっと失礼に見える態度の学生、もいましたが、
困る学生、ではありませんでした。
わからない部分は(実習マナーや態度など)教えてあげたらいい話です。
みんな素直で、目をキラキラさせながら看護についての指導を聞いてくれました。

問題だ、と思うことがあった場合、その対象に問題があるのではなく、そう考える私の中の何に原因がある。

やる気がないわけではなく、実習で態度が悪いのではなく、そう受け取ったのは教員側の考えで、本人は実はめちゃめちゃ緊張していた、そしてどのように実習中動けばいいのかわからなかった、だけかもしれません。

いろんな事が「わからない」状態の場合、学生は省エネモードになります。

この「何か学生が困っているのではないか」という視点で関わり、自分の説明もしくは関わり方が不足していないか、という見方で学生に接すると、お互い悶々とせずコミュニケーションが取れるように思います。

新人看護師も同じです。
人の命が関わる現場で、ただでさえプレッシャーを感じて、環境になじめず緊張している新人さん。
いろんなこと勉強してきたけど、やっぱり現場ではなかなか知識と結び付きません。無理です。脳みそパンクしてキャパオーバーですから。
だから、
「これってなんでだと思う?」って聞いたら、必ず答えを教えてあげてください。看護師もしくは学生が知らなかったり答えられなかったら、その場で教えてあげてください。もちろん、あやふやなことは教えないでください。この時期、先輩から教えられたことは「絶対」になってしまうので。
「なんでだと思う?」って投げかけて、翌日以降まで放置は絶対やめてあげてください。そのことだけで頭がいっぱいになって、「あの先輩に答えなきゃ」とずーっと焦り、疲弊します。

色々、教えてあげください。
自分の培ってきたその貴重な経験など、ぜひ、後輩に伝えてください。
それが絶対ではないかもしれないことも、そしてもっといい方法がないかと、一方的な指導ではなく、一緒に考えてあげる人になってください。

看護に絶対はないです、正解もないです。
そして、数年後にはエビデンス自体変わっているかもしれないです。

学生や新人看護師は、自分の考える看護を相談できる先輩が必要です。
ただでさえ自己肯定感が低いのだから、自分の考える看護に自信もありません。

こんな視点で指導者として関わると、色々おもしろい気づきもたくさんあります。新人や学生ならではの価値観、なるほどそういう考え方もあるよね、と新鮮だったり、時には新しいケアとして取り入れたいアイデアもあります。

自分の考える「後輩はこうあるべきである」は捨てて
1人の同じチームのメンバーとして、出来れば上からではなく、横で一緒に見守りながら、関わっていだきたいなあと思います。

イライラしたら、
日々の看護が、業務優先になってしまっていないか、どうしてイライラするのか、自分のことも振り返ってみるいい機会ですね。







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