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掴んで離さない話

好きな曲にこんなに一節がある。

曖昧に変わる 思い出の袖を 掴んで離さない
俺は、思い出主義者

Base Ball Bear『aimai memories』

何となくいい歌詞だなぁと思っていたあの頃。僕もすっかり思い出主義者になってしまった。忘れたくないと思いすぎて、忘れてしまって泣いている。

人の記憶はどんどん薄らいでいくし、綺麗になっていく。脚色された後悔、盛られすぎた痛み、スルメみたいな悲しみの味。都合の良いように改ざんされる。

忘れたくないと願っても忘れてしまって、「もういいや。」と思えた時に苦しくなってしまう。非常に面倒な心模様だ。

悲しみに酔わないで、と誰かが言っていた。悲しみや苦しみは共感を呼ぶ。人間味の最たるものだからだと思う。同時に不幸を呼ぶ。悲しい場所には悲しいものが吸い寄せられるから。

どんどん悲しみを見たら、みずたまりが大きくなっていってしまう。だからって知らないフリをするのは違うと思う。優しい人になりたいけれど、本当の悲しみや苦しみを共感しすぎたら、また揺れてしまうんだろう。

今日は熱が出た。楽しかったから、興奮冷めやらぬ熱だと思うことにする。くるくるこんなことを考えてしまっている。今日は作品を書けたらいいな、と思う祝日が控える日曜の朝。