呪いの話
大切にしたかった人が幸せになっていること、前向きになっていることに対して、物凄く衝動的にイライラしてしまう日々が続く。
イライラしたかと思うと、突然泣き出し、ぐしゃぐしゃのクロールに突入する。
ふと、大好きなはずのその人を呪いたくなった。言葉は悪いけれど、どこかで死ぬほど辛い思いをして、僕と同じように辛くなればいいのにと思ってしまった。
きっと、そんな思いを抱き、大きく膨らますほど、その人は勝手に幸せになっていくんだろうなと思う。選ばれなかった僕が悪いのに。
僕のことを尊敬している人に選んでくれた人が居る。狭い世界で、限られた大人がいる中で、僕を選んでくれたんだ。これ以上ない光栄だった。そんな人になれる年になったのだと心底嬉しかった。
だから、こんな呪いで顔がぐっと強ばってしまうような人になりたくない。尊敬してくれた人たちのためにも、僕は輝いていたい。
忘れるなんてできない。安いラブソングみたいだけれど。忘れられないことだって、いつか輪郭がぼやけていって、素敵な皺のひとつになるかもしれない。
だから、呪いを断ちたい。呪いの気持ちを断ちたいんだ。道のりは長いけれど。