見出し画像

タンポポの話

急に暑い。まだまだヒートテックを着ている僕は、何だかぷわぷわした気持ちになってくる。混沌とした春。夏に飲まれている春。

今年は桜を疎ましく思っていて、直視することを避けている。ふと、道ばたにタンポポを見つけた。昔、母からセイヨウタンポポとニホンタンポポの見分け方を教えてもらった。

初夏のキャンプ。母とお皿洗いをした帰りだった。母が洗い、僕がすすいだ。カゴに綺麗に積んで、お皿を持って帰った。帰りがけにタンポポをみつけた。

「知ってる?タンポポには種類があるのよ。セイヨウタンポポとニホンタンポポ。花の下を見たら分かるの。ほら。」

母がタンポポを裏っ返しながら見せた。そこにはセイヨウタンポポばかり咲いていた。

翌日、山でマウンテンバイクを乗り回した。道ばたにタンポポを見つけたので裏っ返してみた。ニホンタンポポだった。その違いが面白くて、日記に書いたと思う。

母はいつも笑顔で教えてくれる。僕にたくさんのことを教えてくれた。今日、タンポポを見て思い出した。確かに愛されていた時期が、瞬間があったことを思い出した。

貰った愛情を返せるようになりたい。