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【ウェザーニュース特別ライブ】2022/11/23 教えて予報士さん

①高気圧だと絶対に雨は降らないのですか
気象に絶対はない。高気圧圏内でも降る時は降る。
そもそも高気圧とは、周辺に比べて気圧が高い場所。地上天気図は地上の気圧を表したものであるが、気象現象は地上から高度10km程度までの対流圏内で起きるため、地上天気図だけで天気を把握するには無理がある。
地上から上空まで背の高い高気圧がある場合は上空から地上に向けて空気が降りてくる断熱圧縮が起き、空気が乾いてくるため雲ができにくい場となる。

②南岸低気圧で雪が降る目安が八丈島なのはなぜ
昔から八丈島付近を通る場合が最も大雪となりやすいと言われている。
2014年2月8日の南岸低気圧では千葉市で33cm、東京都心で27cmの積雪を観測したが、この時も八丈島付近を通過した。
八丈島より北を通ると、暖気を引き込むため降るものは雪とならない。逆に南を通るとそもそも雨雲がかからないため雪が降らない。
翌週の2014年2月14日は東京都心では2週連続27cm、甲府は2週間の累計積雪深114cmを記録したが、低気圧が近づきすぎて東京では雪のち雨となり雪が溶けてしまった。
ただこの通りに行かないこともあり、2022年1月6日では、八丈島のはるか南を通過したが、東京で10cm積雪を記録した。これは東京の気温が低かったことが理由である。

③週末台風(週末に台風が来ることが多い)について
これは昔から言われており、1959年9月26日の伊勢湾台風は土曜日、1979年10月19日南海上で870hPaまで発達した台風20号は金曜から土曜日、1991年りんご台風の台風19号も金曜日に接近した。1951年以降今年まで210個程度日本に上陸しているが、まず日曜日が多く、ついで土曜日が多くなっているが最近は平日の火・水曜日が増えてきている。
台風の発生は8月9月が多く、1ヶ月で5個程度発生する。夏場の気圧配置は大きく変わらないため、一旦発生してしまうと周期的に発生し、週末に日本に来るとそれが癖づいてしまうため、週末に台風が多いと言われるのかもしれない。
統計的に見れば週末が多いというのはあるが、今後変化する場合もある。

④尾鷲(おわせ)の雨が多いのはなぜ
地形的要素による。紀伊山地は南東斜面が急峻になっており、ここに南東からの湿った風が吹き付けると陸地沿岸部に大雨を降らせることが多い。1968年9月第三宮古島台風では、日降水量806ミリを観測した。時間単位に換算すると32ミリの雨となる。大台ヶ原のアメダス観測所では1ヶ月の雨量が3500ミリに達したこともあった。九州のえびの高原、屋久島の宮之浦岳でも同様に地形的要素により大雨となる場所である。

⑤地震と震源の深さとの関係を教えてください
三重県南東沖での深発地震が最近あった(M6クラス)が、この場合は異常震域と呼ばれるが、これは日本海や小笠原近海で起きた場合も同様の震域分布となる。
深い地震より浅い地震の方が余震回数が多くなりやすい。これは浅い地震に比べて深い地震の方が岩盤が壊れる範囲が狭いためではないかとされている。
熊本地震は前震本震余震型であり、前震が2016年4月14日21時26分にM6.5、16日7時25分にM7.3の本震が起き、その後も多数の余震が起きた。前震でダメージを受けた建物が本震で倒れてしまうケースが起きる。2004年10月の新潟県中越地震も余震が非常に活発であった。余震があまりにも怖く建物の中にいれず車中泊をしたため、エコノミークラス症候群となり亡くなったケースもあるため注意が必要である。

⑥地震予知はできますか
いつどこでどの規模の地震が起きるかを予知という。日本付近でここ2−3日に大きな地震が起きるというのは予知ではない。近い将来地震予知ができることはなく、それよりも地震に対する知識を備えていくことの方が大切なのではないか。

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