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棚貸し本屋の店番日記 #11 お金のこと

ビールが呑める大人の図書室。

夢オチの可能性を残しつつ、数年後の実現を目指しながら、西日暮里でシェア型書店の棚をお借りしています。

呑みながら見る夢は甘く滑らかですが、素面で見る夢はスパイスが効いて刺激的です。

いつか来るその日に向けて、少しずつですが知識と経験を増やし、お店に並べるための蔵書も積み上げています。(積ん読とも言います)
ですが自治体主催の起業セミナーに参加して、あらためて開業に掛かるお金、毎月の経費、原価、売上予測を弾いたら、何だか胃とお尻のあたりがキューっとなりました。

コツコツと貯めても開業費用でその大半が溶け、月々の家賃で半年以内に蒸発するシミュレーション。行き詰まった現状を打破すべく「高収入」「バイト」で検索すると、たくさんのお仕事があって驚きです。

それでも暇を見つけては物件を探し、怪しいバイトの紹介を覗いては、無料マンガを読んでため息をつく日々。なかなかに前途は多難、1対2の割合で、現実より逃避が上回っています。

ちなみに大人の図書室は、会社勤めを続けながらの企みです。週のうちお店を開ける日数、営業時間も限られます。

そんな状況から、2〜3年のうちに物件見つけて開業出来れば御の字と思い、西日暮里BOOK APARTMENTを運営されているジョージさんに話したら、
「なるべく早く、1年以内で目指した方がいいですよ」
とアドバイスを頂きました。

ワーオと思いつつも、確かにこのままではダラダラと時間ばかりが過ぎて
「タイミングが悪かったんだヨ」
なんて言いながら、缶チューハイ片手に公園の鳩に話しかける自分が想像できます。 

どうせくだを巻くなら、
「潰れちまったけれど俺ァ昔、本屋をやってたんだぜ?」
くらいのことを言ってやりたいもの。鳩だってグルポー励ましてくれるでしょう。
それにこの先、やらない言い訳の材料になるようなイベントが、公私ともに目白押し。5年、10年なんてあっという間です。

そんな訳で、気になった物件を扱う不動産屋さんと連絡を取り、デザイン事務所さんに内装の見積りを依頼しました。元居酒屋さんの居抜きってのも、酒呑みとしては御縁を感じます。

再検討したシミュレーションと条件が合えば、契約を進める予定です。それにしても夢を叶えるには現実の銭勘定も重要なんだと、つくづく認識しました。
行き先を確認せず勢いだけで走ったら、盛大に転んで大怪我することでしょう。お金について考えることは、今と未来を見つめることにつながります。

不定期に連載しているこのマガジン、次回のタイトルが
「契約のこと」
になっているか、それとも
「缶チューハイのこと」
になっているかで、どんな結果かお分かり頂けると思います。
もしも「闇バイトのこと」になっていたら、確実に我を失っていますので、全力で止めて頂きますよう、よろしくお願い致します。


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